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「吐息〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

吐息の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
中で、床の間の楊柳観音《ようりゅうかんのん》が身動きをしたかと思うほど、かすかな吐息《といき》をつく音がした。 私は悸《おび》えた眼を挙げて、悄然と坐っている....
報恩記」より 著者:芥川竜之介
と云えば、悲しい話にきまっているようです。 弥三右衛門はしばらくの後《のち》、吐息《といき》をするようにこう云いました。 「もうこの羽目《はめ》になった上は、....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
って居りますのが、かすかに耳へはいりました時も、私どもは互の顔さえ見ずに、黙って吐息《といき》ばかりつきながら、歩いて行ったものでございます。 ....
」より 著者:芥川竜之介
の心の上には、あらゆる経験を超越した恐怖が、…… 房子は一週間以前の記憶から、吐息《といき》と一しょに解放された。その拍子に膝《ひざ》の三毛猫は、彼女の膝を飛....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
が出来なかったのです。……」 本多子爵《ほんだししゃく》はこう云って、かすかな吐息《といき》を洩しながら、しばらくの間口を噤《つぐ》んだ。じっとその話に聞き入....
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
――しかしこの国の風景は美しい。気候もまず温和である。……」 オルガンティノは吐息《といき》をした。この時偶然彼の眼は、点々と木かげの苔《こけ》に落ちた、仄白....
大川の水」より 著者:芥川竜之介
よりも大川の水を愛するのである。 銀灰色の靄《もや》と青い油のような川の水と、吐息《といき》のような、おぼつかない汽笛の音と、石炭船の鳶色《とびいろ》の三角帆....
路上」より 著者:芥川竜之介
平《ぴら》だ。」 「私も、もう沢山。」 辰子はこう云って、今更のようにかすかな吐息を洩らした。 「あなたは?」 初子は生々した血の気を頬《ほお》に漲らせて、....
三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
たかと思いまする。」 三右衛門はちょっと言葉を切り、さらに言葉をと云うよりは、吐息《といき》をするようにつけ加えた。 「その上あの多門との試合は大事の試合でご....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
かく靄《もや》に包んだまま、ここでもただ梟《ふくろう》の声が、ちょうど山その物の吐息《といき》のように、一天の疎《まばら》な星の光を時々曇らせているばかりであっ....
樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
ただけである。自分は樗牛の慟哭《どうこく》には微笑した。が、そのもっともかすかな吐息《といき》には、幾度も同情せずにいられなかった。――日は遠く海の上を照してい....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
つくばっている御影《みかげ》の狛犬《こまいぬ》へ眼をやると、ほっと安心したような吐息をついて、その下をだらだらと川の方へ下りて行くと、根府川石《ねぶかわいし》が....
或る女」より 著者:有島武郎
部屋にはいると事務長は、田川夫人の言葉でも思い出したらしくめんどうくさそうに吐息《といき》一つして、帳簿を事務テーブルの上にほうりなげておいて、また戸から頭....
或る女」より 著者:有島武郎
ては消え描いては消えするのを見つめていた。 しばらくしてから葉子は物うげに深い吐息を一つして、上体をひねって棚《たな》の上から手文庫を取りおろした。そして筆を....
星座」より 著者:有島武郎
の心に等しかった。夜の闇が逼《せま》り近づいて紫がかった雪の平面を、彼は親しみの吐息をもって果て遠く眺めやった。 さっきのとおりに小母さんもおぬいさんも家にい....