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吐気
「吐気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
吐気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「永日小品」より 著者:夏目漱石
わせんが好いじゃないかと、少し嶮《けん》どんに叱りながら書見をしていた。 猫は
吐気《はきけ》がなくなりさえすれば、依然として、おとなしく寝ている。この頃では、....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
く》になった筋肉の底に、また温《あた》たかい血が通《かよ》い始めて、徳義に逆らう
吐気《むかつき》なしに、ただ興味という一点からこの問題を面白く眺《なが》める余裕....
「こころ」より 著者:夏目漱石
すか」 「どうですか、何とも書いてないから、大方《おおかた》ないんでしょう」 「
吐気さえ来なければまだ大丈夫ですよ」と奥さんがいった。 私はその晩の汽車で東京....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
いと腐敗臭が、漁舎ばかりではなく浜全体にびまんして、慣れない百姓や子供のなかには
吐気をもよおすものさえあった。 夜も昼もないそういう労働が何日かつづくと、源吉....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
爛れた胃壁から咽喉元へ伝い上って来るのに噎び返りながらテーブルの前へ起きて来た。
吐気に抵抗しながら二三杯毒々しいほど濃い石灰色のキャフェを茶碗になみ/\と立て続....
「売春婦リゼット」より 著者:岡本かの子
門を潜って町の光のなかに出た。リゼットの疲れた胃袋に葡萄酒がだぶついて意地の悪い
吐気が胴を逆にしごいた。もし気分がそのまま外に現われるとしたら自分の顔は半腐れの....
「異郷」より 著者:寺田寅彦
に重いアパシイが全身を蔽うような気がした。美しい花の雲を見ていると眩暈がして軽い
吐気をさえ催した。どんよりと吉野紙に包まれたような空の光も、浜辺のような白い砂地....
「僕はもう治っている」より 著者:坂口安吾
、そうである。ボクはそれを蓄膿症のせいかしらんと思っていた。しきりにハナがでて、
吐気を催し、ふせばノドに流れこみ、起きてる時はハナをかみつゞけなければならない。....
「陳情書」より 著者:西尾正
した。車が動き出すと同時に私は苦痛に近い疲労を覚え、割れる様な頭痛と絞られる様な
吐気に攻め立てられ、到底眼を開けて居る事に堪えられず其の儘崩折れる様に席の上に居....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
の」 と言って、疲れを見せなかった。 絶頂に辿りついた時には私には気分が悪く
吐気を催して、しばらくは景色を見る気もしなかった。 「存外弱脚だわね」 と彼女....
「中毒」より 著者:織田作之助
のある女とは、間もなく別れた。その当座、私は一日二箱のキングを吸って、ゲエゲエと
吐気がした。私は煙草をよそうと思った。新しい女が私の前に現われたのだ。 彼女は....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
。 ――ふふん。 ジョーンは苦笑した。さっきからこづき廻された気分がつかえて
吐気がして来た。眩暈がしそうだ。が、アイリスは邪険に二人を両方へ押しやった。 ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
たです。心臓病を起したのかどうしたのか知らんが息は非常に急しくなって来まして少し
吐気が催しました。こりゃいけないと思ってそこへ荷物を卸しますと背中の方にも荷物を....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
然アンドレイ、エヒミチは脳充血を起して死去してしまった。初め彼は寒気を身に覚え、
吐気を催して、異様な心地悪しさが指先にまで染渡ると、何か胃から頭に突上げて来る、....
「越年」より 著者:岡本かの子
。しまいには頭がぼーっとしてしまって、家へ帰って寝るとき天井が傾いて見えたりして
吐気がするときもある」 「済みませんわね」 「いえ、そのうちに慣れると思ってる」....