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向かい
「向かい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
向かいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
その午後にも東単牌楼《トンタヌピイロオ》の社の机にせっせと書類を調べていた。机を
向かい合わせた同僚にも格別異状などは見えなかったそうである。が、一段落ついたと見....
「河童」より 著者:芥川竜之介
る生暖《なまあたた》かい日の暮れです。僕はこの部屋のテエブルを中に漁夫のバッグと
向かい合っていました。するとバッグはどう思ったか、急に黙ってしまった上、大きい目....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
わざ彼女を銀座《ぎんざ》の裏のあるレストオランへつれて行った。たね子はテエブルに
向かいながら、まずそこには彼等以外に誰もいないのに安心した。しかしこの店もはやら....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
満足を感じているのです。
僕の部屋は二階の隅にあります。僕はこの部屋の隅の机に
向かい、午前だけはちゃんと勉強します。午後はトタン屋根に日が当るものですから、そ....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
て行った。 一時間ばかりたった後、僕は僕の部屋にとじこもったまま、窓の前の机に
向かい、新らしい小説にとりかかっていた。ペンは僕にも不思議だったくらい、ずんずん....
「夢」より 著者:芥川竜之介
考えたりした。
ある生暖《なまあたたか》い風の立った午後、わたしはやはり画架に
向かい、せっせとブラッシュを動かしていた。モデルはきょうはいつもよりは一層むっつ....
「或る女」より 著者:有島武郎
プにでもかけられたように脳のすきまというすきまをかたく閉ざした。たまらなくなって
向かいの窓から景色でも見ようとすると、そこにはシェードがおろしてあって、例の四十....
「或る女」より 著者:有島武郎
いお日和《ひより》ね。今夜あたりは忙しんでしょう」
と葉子は朝飯の膳《ぜん》に
向かいながら女中にいってみた。
「はい今夜は御宴会が二つばかりございましてね。で....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
微笑とも皮肉な痙攣とも思いなされた。 それから二人はまた二十分ほど黙ったままで
向かい合ってすわりつづけた。 「じゃまた持って来ますから見てください。今度はもっ....
「親子」より 著者:有島武郎
た。 監督が丁寧に一礼して部屋を引き下がると、一種の気まずさをもって父と彼とは
向かい合った。興奮のために父の頬は老年に似ず薄紅くなって、長旅の疲れらしいものは....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
鐘声遠く響きて、月はますます白く、空はますます澄めり。 白糸はあらためて馭者に
向かい、 「おまえさん、金沢へは何日《いつ》、どうしてお出でなすったの?」 四....
「外科室」より 著者:泉鏡花
たりし三人の腰元の中に、ひときわ目立ちし婦人《おんな》なり。 そと貴船伯に打ち
向かいて、沈みたる音調もて、 「御前《ごぜん》、姫様《ひいさま》はようようお泣き....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
一 「こう爺《じい》さん、おめえどこだ」と職人体の壮佼《わかもの》は、そのかたわらなる車夫の老人に
向かいて問い懸《か》けたり。車夫の老人は年紀《とし》すでに五十を越えて、六十にも....
「わが妻の記」より 著者:伊丹万作
いうものがいたつて乏しい。しかし、来客に対しては何とかごまかして行くが、私と差し
向かいになつたら全然もういけない。 私は何とかしてこれを直そうと思い、数年間執....
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
、ふたりでおんちゃんを呼んできたと母にいう騒ぎ、母はなお立ち働いてる。父と三児は
向かい合わせに食卓についた。お児は四つでも箸《はし》持つことは、まだほんとうでな....