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向き直る
「向き直る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
向き直るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
? お母さんだってこの間は、羽織を一つ拵えたじゃありませんか?」
姉は父の方へ
向き直ると、突然険しい目つきを見せた。
「あの時はお前も簪《かんざし》だの櫛《く....
「或る女」より 著者:有島武郎
う一度ちらっと木部を見た。やせた木部の目は前と同じに鋭く輝いていた。葉子は正面に
向き直るとともに、その男のひとみの下で、悒鬱《ゆううつ》な険しい色を引きしめた口....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
源蔵がゆうべ変なことを見たと云うんです」 「なにを見たね」 吉五郎は職人の方へ
向き直ると、源蔵も小声で話し出した。 「実は昨晩、高田の四家町《よつやまち》まで....
「春の枯葉」より 著者:太宰治
さん。どこへ行くのです。 菊代、戸口のところに立ち上り、野中教師のほうにくるりと
向き直る。口笛は、なお聞えている。 (菊代)(ほがらかに)お友だちのところへ。 ....
「三斜晶系」より 著者:寺田寅彦
ける。しかしそれはわずかに十度か二十度ぐらい回転するだけで、すっかり元の方向まで
向き直るようなことはない。なんべんも繰り返してみたが同じ結果であった。 道路に....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
強く人を牽きつける力を籠めて居る。「豹の眼だ」と此の時も思ったのである。 私が
向き直ると、ヤコフ・イリイッチは一寸苦がい顔をして、汗ばんだだぶだぶな印度藍のズ....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
或る者が主役の前田マサ子の横腹をドーンと肘でついた。前田はクルリとその友達の方に
向き直ると、いたずら小僧のように片っ方の目をパチパチとした。それはすぐ杜の目にと....
「小公女」より 著者:菊池寛
」 「なぜ、私にいわなかったのです。」ミンチン女史はひどく感情を害して、セエラに
向き直るのでした。 「私――私、お話ししようと思ったのですけど、私、切り出しが拙....
「阿亀」より 著者:豊島与志雄
って促しながら、変に憂鬱な様子になっていた。 「済みません。」 木谷が球の方へ
向き直ると、男はなおじっと僕の方を見ながら、言葉だけを木谷へ向けた。 「そりゃあ....
「蜘蛛」より 著者:豊島与志雄
出しは出来ない。やがて、蜂がぱっと飛んで逃げようとした。とたんに、蜘蛛はくるりと
向き直るが早いか、くり出す白糸で蜂を絡めた。次にはもう、蜘蛛の足先でくるくる廻転....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
ら云った。 「浅川さんは、どうしました?」 「浅川君か?……」 と係長が後ろへ
向き直ると、傍らにいた事務員が口を入れた。 「札幌の本社から電話で、出て行かれま....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
に散って行こうぞ』 源兵衛『もうすっかり、気が落附きました。さらば父者』 (西に
向き直る。) 源右衛門『うむ、よい覚悟。わしもあとから直きに行く』 (刀を抜いて....
「かもじの美術家」より 著者:神西清
はねえぜ。おれが無理矢理かどわかしたんだからな。」 そして坊さんの方へくるりと
向き直ると、したことはたった一つ、その顔へペッと唾を吐きかけただけでした。 坊....
「日を愛しむ」より 著者:外村繁
ているだろうしね」 「御不自由でしょうね。おばあさんも、大へんだわ」 私は机に
向き直る。素子は用心深く横になる。私は気が気でなく、横目使いにそれを見ている。薬....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ろう、この眠りざまであろう。 私は、ふらふらと、その足元に匍い上った。そうして
向き直ると、両足をブランブランさした。 眠ている、眠ている、眠ています。 酔って....