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向く
「向く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
向くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
きりした決断がつかずにいたのでございます。が、そう云う内にも私の甥が、今度はふり
向くらしい容子《ようす》もなく、じっとその小屋を見守りながら、
「そうです。」と....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
ぺい》の自害の場の幕がしまった後《あと》だったと思いますが、彼は突然私の方をふり
向くと、『君は彼等に同情が出来るか。』と、真面目《まじめ》な顔をして問いかけまし....
「路上」より 著者:芥川竜之介
を外へ退《しりぞ》いた。
「今日は御機嫌《ごきげん》が悪いようです。あれでも気が
向くと、思いのほか愛嬌《あいきょう》のある女なんですが。」
新田は令嬢の病室の....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
いかく》も、一向効果がないらしかった。彼等はさんざん笑ってから、ようやく彼の方を
向くと、今度はもう一人がやや恥しそうに、美しい領巾《ひれ》を弄《もてあそ》びなが....
「或る女」より 著者:有島武郎
ので、軽い瞑眩《めまい》をさえ覚えるほどだった。鉄の手欄《てすり》にすがって振り
向くと、古藤が続いて出て来たのを知った。その顔には心配そうな驚きの色が明《あか》....
「或る女」より 著者:有島武郎
りがなかったわね。これが愛子これが貞世です」
そういいながら葉子は倉地のほうを
向くともうくすぐったいような顔つきをせずにはいられなかった。倉地は渋い笑いを笑い....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
どんな顔をしているか見たくってたまらなかったけれども、どうしてもそっちの方をふり
向くことができませんでした。でも僕のしたことを誰も気のついた様子がないので、気味....
「星座」より 著者:有島武郎
がよくこれだけのことを吸収しうるものだ。つまりあいつの頭は学者という特別な仕事に
向くようにできているんだと人見は(自分の持っている実際的の働きにある自信を加えて....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
テウスの堅き手に作り上げしときに。 その外のあらゆる者は下なる地の方に 眼をこそ
向くれ、その暇に人のみこそ振り仰ぎ その眼は高く永遠の星の宮居に、 かくてぞ人の....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
。こう云う時に誰か来ればいいと思うが、生憎誰も来ない。そうかと云ってこっちから出
向くのも厄介である。そこで仕方がないから、籐の枕をして、また小説を読んだ。そうし....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
ら浮き上った様に、際立って見えた。ぎりっと私を見据えて居るものがあると思って振り
向くと、屹度イフヒムの大きな夢でも見て居る様な眼にぶつかったものである。あの眼な....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
さに違いない。 女房は行きがけに、安手な京焼の赤湯呑を引攫うと、ごぼごぼと、仰
向くまで更めて嗽をしたが、俥で来たのなどは見た事もない、大事なお花客である。たし....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
て、おおいおおいも茶番らしい、殊に婦人ではあるし、と思う。 今にも来そうで、出
向く気もせず。火のない巻莨を手にしたまま、同じ処に彳んで、じっと其方を。 何と....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
の進歩はそれからである。地上の無智なる者は、或はわれ等の示教に対して、侮蔑の眼を
向くるであろうが、それ等はしばらく後※しとし、智慧の教を受け入るることを好む進歩....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
間もなく、警視庁から新幹部へ呼出しがかかった。『なんだろう』と私たちが警視庁に出
向くと、治安警察法により結社禁止、解散が言渡されたのである。これがなんと結党して....