君侯[語句情報] »
君侯
「君侯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
君侯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
れによると、このいじらしい小娘の父親は、もと中国筋のさる藩中で、ささいなことから
君侯の怒りにふれて浪々の身となり、もう半年ほどまえから深川|八幡《はちまん》裏に....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
、言い迫ったとでも申さるるか」 「はっ……。なれども、いかに仰せられましょうと、
君侯《との》のお目をかすめ奉って、左様な道ならぬ不義は霧島京弥、命にかけても相成....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
村正の世に出してはならぬ刀であることはよく知っていたものでしたから、ご恩をうけた
君侯の名に傷をつけまいために、また二つには自分の犯跡をくらますために、平素身近に....
「十万石の怪談」より 著者:佐々木味津三
ごとく勇ましげに進んでいった。 それをお物見櫓の上から見おろし乍ら、悦ばしげに
君侯の呼ばわり励ます声が、冴えざえと青白く冴えまさっている月の光の中を流れて伝わ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
を覆して、彼の説を破ろうとするものが出て来た。それは多く臣下の手に成ったものだ。
君侯といえどもそれを制することができなかったのだ。そこで彼は水戸の御隠居や、尾州....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ら鉄砲でも撃ちかけて置けば公儀への御義理はそれで済む、そんなことも言った。しかし
君侯は現に幕府の老中である、その諏訪藩として浪士らをそう放縦にさせて置けないと言....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の武家時代を忘れかねるものは多い。あるいは因循姑息のそしりをまぬかれないまでも、
君侯のために一時の安さをぬすもうと謀るものがあり、あるいは両端を抱こうとするもの....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
十代のあいだ、二百五十余年は、そこにその家臣とともに棲みついていた。本丸の下には
君侯の居があった。つづく大広間に於いて一藩の大事が吟味された。興武館に武技をみが....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
阿部邸の奥表に伝播して見ると、上役はこれを棄て置かれぬ事と認めた。そこでいよいよ
君侯に稟して禄を褫うということになってしまった。 枳園は俳優に伍して登場した罪....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
くもいい。好きな娘とくらすもいい。そうしてそうやってくらしていることが、やがては
君侯田安家のおために、ならないこともなかろうからな。いろいろの人間と交わって、沢....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
ある。 大名の屋敷はその頃上屋敷中屋敷下屋敷と三ヶ所に分って構えたもので、私の
君侯の上屋敷は芝|愛宕下《あたごした》にあり、中屋敷は三田一丁目にあり、下屋敷は....
「盈虚」より 著者:中島敦
がら良夫が叫ぶ。 いや、まだある。忘れるなよ。先夜、汝は主君に何を言上したか?
君侯父子を離間しようとする佞臣奴《ねいしんめ》! 良夫の顔色がさっと紙の様に白....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ちにまだ多少残ってる、怯懦《きょうだ》や、ゲルマン的忠義心や、伝統的な尊敬心や、
君侯の前における屈従的習慣などであった。彼は口をききたかったがそれもできなかった....
「四十八人目」より 著者:森田草平
戸田のお家はどうなると思う? 去年|内匠頭様刃傷の際にも、大垣の宗家を始め、わが
君侯にも連座のお咎めとして、蟄居閉門をおおせつけられたではないか。今度そんなこと....
「鴉片を喫む美少年」より 著者:国枝史郎
しかし一日として日本のことを、思わない日はないのだよ。勿論妻も子供もないから、
君侯のことや朋輩のことや――わけても君、吉田惣蔵君のことを、何事につけても思い出....