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「吟声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

吟声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
いた。 「お先へ失礼しましたよ。何だか気分がわるいので」お島はそう言いながら、呻吟声《うめきごえ》を立てていた。 鶴さんは床についてからも、白い細長い手を出し....
新生」より 著者:島崎藤村
な年若な女学生がよくその草原へ歩きに来ると想像して見よとも言った。風の持って行く吟声は容易に処女《おとめ》の心を捉《とら》えたとも言った。そしてその処女が何事《....
婦系図」より 著者:泉鏡花
を出して、戸口に横わって眠ったのもあった。遠くで犬の吠ゆる声はするが、幸いどの呻吟声も聞えずに、更けてかれこれ二時であろう。 厠は表階子の取附きにもあって、そ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
いた人たちの間を斡旋した。 その日は新たにできた塚のもとに一同集まって、そこで吟声供養を済ますはずであった。ところが、記念の一巻を巻き終わるのに日暮れ方までか....
田舎教師」より 著者:田山花袋
さんのまずい詩吟が出たかと思うと、今度は琵琶歌かとも思われるような一種の朗らかな吟声が聞こえた。 若い人たちはつれだって町に出かけた。懐に金はないが、月末勘定....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
が心持|不味そうに食事をしていると、葉子はひりひりした痛みを感ずるらしく、細い呻吟声を立て、顔をしかめた。彼は硬い表情をして別のことを考えていたので、振り向きも....
足迹」より 著者:徳田秋声
しかねる局部の爛れが、拡がって来るばかりであった。叔母は聞いていても切なそうな呻吟声を挙げて、夜も寝られない大きな体を床の上に転がっていた。 四十 ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
って、声涙共に下るの慨を生じ来《きた》るの時、廊下にドヤドヤと人の足音。 その吟声がやむと暫くあって、南条の影法師と向い合って、新たに幾頭の影法師。 「南条君....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
が呻吟くのかい。」 「いんね、」 と変な顔色で、鼻をしかめ、 「ふん、難産の呻吟声だ。はあ、御新姐が唸らしっけえ、姑獲鳥になって鳴くだあよ。もの、奥の小座敷の....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
き、※と火花の散るごとく、良人の膚を犯すごとに、太く絶え、細く続き、長く幽けき呻吟声の、お貞の耳を貫くにぞ、あれよあれよとばかりに自ら恐れ、自ら悼み、且つ泣き、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
くわかんば》の処 竹輿《ちくよ》、夢を舁《にの》うて関原《くわんげん》を過ぐ――吟声が終った時分に、お雪ちゃんは二人に追いつきましたけれども、次のような余談に耽....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
てなお未だ終らざるに、愁殺す楼蘭征戍《ろうらんせいじゅ》の児……」 と田山白雲が吟声に落ちて行くところは、御当人が茂太郎を笑いながら、御当人自身も、茂太郎にかぶ....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
であるから、塾生一同はあまり勉強をしない。多くはよそで酒を飲んで帰って来て大声で吟声を発しまた時世論をする。それから夜更けて戻った者が、既に寝ている者を起して、....
暗号舞踏人の謎」より 著者:ドイルアーサー・コナン
「彼の女は死んだ夫の側に、ひどく怪我をしているのを発見されたのだ」 彼は深い呻吟声を上げながら、腕椅子に崩れるように腰かけて、手錠のかかった両手で顔を蔽うた。....
南国太平記」より 著者:直木三十五
たなら、何処まで、登って行くかも知れん」 二人が、話しておる間にも、二階では、吟声が、足音が、拍子が、轟いていた。 「所司代は、よく、黙視しておるの」 「もう....