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吟誦
「吟誦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
吟誦の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
我と我身の青春に堪《た》えないかのように、「されど去歳《こぞ》の雪やいづこに」と
吟誦《ぎんしょう》して聞かせた時の声はまだ岸本の耳の底にあった。
夜に入って、....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
い本がのせられてあった。かれは、「響りんりん」という故郷を去るの歌をつねに好んで
吟誦した。その調子には言うに言われぬ悲哀がこもった。庫裡の玄関の前に、春は芍薬の....
「謡曲黒白談」より 著者:夢野久作
こう籠めて全身に及ぼし、心広く体胖かに、即ち至誠神明に通ずる底の神気を以て朗々と
吟誦するのです。ですから一句の裡に松影|婆娑たる須磨の浦を現わし、一節の裡に万人....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
に潜むの悲痛を描いて以て教えなければならぬ。今日以後の文人は山林に隠棲して風月に
吟誦するような超世間的態度で芝居やカフェーにのみ立籠っていて人生の見物左衛門とな....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
の音が多い、そしてカの音を繰返した調子であるというような事であるが、それは幾度も
吟誦すれば自然に分かることだから今はこまかい詮議立は罷めることにする。契沖は、「....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
私は何ということが出来るでしょう。その詩が、一度よりは二度と味いを増しつつ朗々と
吟誦されたとき感歎に声もなしという風だった、そのような状態が私にさながらそのまま....
「耳無芳一の話」より 著者:小泉八雲
して。 幾百年か以前の事、この赤間ヶ関に芳一という盲人が住んでいたが、この男は
吟誦して、琵琶を奏するに妙を得ているので世に聞えていた。子供の時から
吟誦し、かつ....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
蕉という名は徹頭徹尾尊敬の意味を表したる中に、咳唾《がいだ》珠《たま》を成し句々
吟誦するに堪えながら、世人はこれを知らず、宗匠はこれを尊ばず、百年間空しく瓦礫《....
「三国志」より 著者:吉川英治
じ、自分も欣然この労をとった。 「これでよいかの」 鄭玄は自分の文を詩のように
吟誦してから封をした。玄徳は押しいただいて門を辞した。驢をめぐらして城に帰ると、....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
あいにく、長恨歌は余りに長篇だし難解でもあるので、ここに詳解し難いが、あの一篇を
吟誦し去って――そして、コレ兵法ノ始ニシテ終リナリ――を併せ思うと、恋愛と闘争。....