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「含羞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

含羞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
に取って、煤《すす》けきったような鈍重な眼を強度の近眼鏡の後ろから覗かせながら、含羞《はにか》むように、 「ライプチッヒから本が少しとどきましたから何んなら見に....
狂言の神」より 著者:太宰治
歴書の下書として書きはじめ、一、二行を書いているうちに、はや、かれの生涯の悪癖、含羞《がんしゅう》の火煙が、浅間山のそれのように突如、天をも焦《こ》がさむ勢にて....
朱日記」より 著者:泉鏡花
さい。先生にそうお願いして、と言いますから……家へ帰らして下さい、と云うんです。含羞む児だから、小さな声して。 風はこれだ。 聞えないで僥倖。ちょっとでも生....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
わけが分らなくって不可ません、芸者|衆なんか二階へ上げまして。」 と言も極って含羞んだ、紅い手絡のしおらしさ。一人の婦人が斜めに振向き、手に持ったのをそのまま....
深夜の市長」より 著者:海野十三
たことがあったのでねえ。はッはッはッ」 「深夜の市長」は笑ったが、その笑いは妙な含羞の響きを持っていた。僕の方はすこしも笑うことができなかった。その理由は、誰に....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
るの。さっきから。」 「お礼を申し上げてるんですわ。」夫人は小娘のようにちょっと含羞んだ。「あまりお涼しい風が、吹き込んでまいりますもんですから。」 「そんなこ....
」より 著者:海野十三
」 と、叩きつけるように云った。 それを聞くと同時に、四郎の顔から、今までの含羞や気弱さが、まるで拭ったように消え去った。彼は、くそ落付に落付いて挨拶を交わ....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
台辞。 「米が高値いから不景気だ。媽々めにまた叱られべいな。」 でも、ちょっと含羞んだか、日に焼けた顔を真赤に俯向く。同じ色した渋団扇、ばさばさばさ、と遣った....
南地心中」より 著者:泉鏡花
紅の襲に透くよう媚かしく、白の紗の、その狩衣を装い澄まして、黒繻子の帯、箱文庫。含羞む瞼を染めて、玉の項を差俯向く、ト見ると、雛鶴一羽、松の羽衣|掻取って、曙の....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
皿小鉢、銚子を運ぶと、お門が違いましょう。で、知りませんと、鼻をつまらせ加減に、含羞んで、つい、と退くが、そのままでは夜這星の方へ来にくくなって、どこへか隠れる....
縁結び」より 著者:泉鏡花
ば、時々、門口じゃ、その※さんというのの母親に口を利かれる事があっても、こっちは含羞で遁げ出したように覚えている。 だから、そのお嬢さんなんざ、年紀も違うし、....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
まじり。大方時刻の移るに従うて、百万遍を気にするのでありましょう。お鉄は元気好く含羞むお雪を柔かに素直に寝かして、袖を叩き、裾を圧え、 「さあ、お客様。」 と....
ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
。新たに医学校を卒業したばかりかと思われるような若者であった。蜂谷はその初々しく含羞んだような若者をおげんの前まで連れて来た。 「小山さん、これが私のところへ手....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
そこでオカミサンに付そはれて娘は伏目に現はれたが、なるほどゼンゼン美しい。処女の含羞、女子大学生、たゞ目が細い。しかしスーと一文字にきりこまれていかにもうるんで....
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ」より 著者:神西清
古をした事もあった。けれど、彼が成長して立派なとても美しい青年になった時、彼女は含羞むようになり、間もなく夢中になって恋い焦がれるようになった。この恋心は彼女が....