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吸盤
「吸盤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
吸盤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
た、葉や巻髭が、隙間なく層をなして重なりあっているのだが、そうしているうちには、
吸盤《きゅうばん》が触れあい茎棘が刺しかわされてしまうので、その形相《ぎょうそう....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
歌に誘われ、蝙蝠のような翅の生えた本物の吸血鬼がこの黄昏の中に現われて、その長い
吸盤のような尖った唇でもって、愛弟の血をチュウチュウと吸ったのではあるまいかと思....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
ャグニャの赤いやつでした……」 「蛸?」 と東屋所長が首をかしげた。 「蛸なら
吸盤があるから、ここまで登って来るかもしれないね」 とわたしは冗談らしく言った....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
付いている。クイクイを片付けてから、野生のライムにかかる。棘《とげ》と、弾力ある
吸盤とに、大分素手を傷められた。 十時半、ヴェランダから法螺貝《ブウ》が響く。....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
て言わぬばかり、人間も、赤沼の三郎もかわりはないでしゅ。翁様――処ででしゅ、この
吸盤用意の水掻で、お尻を密と撫でようものと……」 「ああ、約束は免れぬ。和郎たち....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
理も非もなくその人に縋《すが》りついて助けを求めた時、その鉄壁のような冷たさと、
吸盤のような引力に吸い込まれて、その夜、ついに怪しい二つの蝶の夢を見て、夜が明け....
「憑きもの」より 著者:豊島与志雄
が見返してもたじろぎもせず、何の表情も浮べず、ひたと私の肌に吸いついてくる。蛸の
吸盤、蛭の口の
吸盤、そんな感じだ。私は身内がぞっと冷たくなった。 ――あの時と....
「蛸の如きもの」より 著者:豊島与志雄
利いてもひそひそと、黙ってるのに等しい。蛸に声が出るものか。口をくうくう鳴らし、
吸盤をぴちゃぴちゃさせるだけだ。八本の肢体は足ともなれば腕ともなる。足を組み合せ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
でも、特に悪食の奴だそうだ。マッコーを捕えると、たいがい目の周囲のあたりに大きな
吸盤のあとがついてるそうで、つまり深海でイカやタコの大物と大格闘している跡を歴然....
「香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
に似た鰍は肉に締まりがなく骨が硬い。ところが、川の上流水温の低い荒瀬に棲む、胸に
吸盤のない鰍は四季通じて、骨がやわらかく肉に気品がある。奥山の鰍は、晩秋から早春....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
が短く、頭が割合に大きく尻がこけているのである。大きいのは四寸位にまで育って腹に
吸盤のついていないものが上等とされている。北陸地方では鰍のことを鮴と呼んでいるが....
「冬の鰍」より 著者:佐藤垢石
が短く、頭が比較的大きく尻がこけている。大きいのは四、五寸くらいまで育って、腹に
吸盤のないものが本ものである。大きな川の川尻に鮎食いまたはタキタといって二十匁以....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
の経験から申しますれば一体山登りなどというものは、もし人間に章魚《たこ》のような
吸盤さえあれば、氷の壁であろうと、削岩壁であろうと、実に訳のない事であります。そ....
「京都のごりの茶漬け」より 著者:北大路魯山人
といっても分らない人は、はぜのような形のさかなと思えばいい。腹に鰭でできたような
吸盤がついていて、早瀬に流されぬよう河底の石に吸いついている。 ごりには大小さ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
、大丈夫かい」。こんな戯談を云う丈に余裕の出来た私達は、小さな窪を目懸けて手足に
吸盤を持った雨蛙のように壁面に飛び付いた、同時に金作が両腕を攫んで易々と次から次....