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「吹雪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

吹雪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
出して来た。妻の膝《ひざ》の上には赤坊もいなかった。 その晩から天気は激変して吹雪《ふぶき》になった。翌朝《あくるあさ》仁右衛門が眼をさますと、吹き込んだ雪が....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
陣痛が起り出して不安が家中に拡《ひろ》がったのは今から思うと七年前の事だ。それは吹雪《ふぶき》も吹雪、北海道ですら、滅多《めった》にはないひどい吹雪の日だった。....
星座」より 著者:有島武郎
ものだった。 ことに冬、真昼間でも夕暮れのように天地が暗らみわたって、吹きまく吹雪のほかには何の物音もしないような時、風に揉《も》みちぎられながら澄みきって響....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
に、一、二年いた雀は、雪なんぞは驚かなかった。山を兎が飛ぶように、雪を蓑にして、吹雪を散らして翔けたものを―― ここで思う。その児、その孫、二代三代に到って、....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
君は来やしない。停車場からの雪道はもうとうに埋まってしまったに違いないから。私は吹雪の底にひたりながら、物さびしくそう思って、また机の上に目を落とした。 筆は....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
宗吉は針の筵を飛上るように、そのもう一枚、肘懸窓の障子を開けると、颯と出る灰の吹雪は、すッと蒼空に渡って、遥に品川の海に消えた。が、蔵前の煙突も、十二階も、睫....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
ばす――荒磯や、奥山家、都会離れた国々では、もっとも熊を射た、鯨を突いた、祟りの吹雪に戸を鎖して、冬|籠る頃ながら――東京もまた砂|埃の戦を避けて、家ごとに穴籠....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
、那須颪が真黒になって、再び、日の暮方の雪が降出したのが、今度行向う時は、向風の吹雪になった。が、寒さも冷たさも猟夫は覚えぬ。ただ面を打って巴卍に打ち乱れる紛泪....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
結うのに、撓った片手は二の腕まで真白に露呈で、あこがるる章魚、太刀魚、烏賊の類が吹雪の浪を泳ぎ寄りそうで、危っかしい趣さえ見えた。 ――ついでに言おう。形容に....
黒百合」より 著者:泉鏡花
うつぎの花に翼を触れたと見ると、あッという人の叫声。途端に飜って舞上った時に、粉吹雪のごとくむらむらと散って立つ花片の中から、すっくと顕れた一個の美少年があった....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
下りるほどの間さえなく、帯腰へ疾く附着いて、ぶるりと触るは、髪か、顔か。 花の吹雪に散るごとく、裾も袖も輪に廻って、夫人は朽ち腐れた破屋の縁へ飛縋った。 「誰....
雪霊記事」より 著者:泉鏡花
越前の府、武生の、侘しい旅宿の、雪に埋れた軒を離れて、二町ばかりも進んだ時、吹雪に行悩みながら、私は――そう思いました。 思いつつ推切って行くのであります....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
両手を炬燵にさして、俯向いていました、濡れるように涙が出ます。 さっという吹雪であります。さっと吹くあとを、ごうーと鳴る。……次第に家ごと揺るほどになりま....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
。 もしまたうつせ貝が、大いなる水の心を語り得るなら、渚に敷いた、いささ貝の花吹雪は、いつも私語を絶えせぬだろうに。されば幼児が拾っても、われらが砂から掘り出....
註文帳」より 著者:泉鏡花
囁かと物凄い。 十二時|疾くに過ぎて、一時前後、雪も風も最も烈しい頃であった。吹雪の下に沈める声して、お若が寮なる紅梅の門を静に音信れた者がある。 トン、ト....