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呟
「呟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
呟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鼻」より 著者:芥川竜之介
て。
内供は、誦《ず》しかけた経文をやめて、禿《は》げ頭を傾けながら、時々こう
呟《つぶや》く事があった。愛すべき内供は、そう云う時になると、必ずぼんやり、傍《....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、当の雅平は行方《ゆくえ》も知れぬ。」と、いつになく沈んだ御声でもの思わしげに御
呟《おつぶや》きなさいました。するとその御容子《ごようす》にひき入れられたのか、....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
の小遣《こづか》いに当てるのには十分である。
「ヤスケニシヨウカ」
保吉はこう
呟《つぶや》いたまま、もう一度しみじみ十円札を眺めた。ちょうど昨日《きのう》踏破....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
はただ、私の俥《くるま》が両国橋《りょうごくばし》の上を通る時も、絶えず口の中で
呟《つぶや》いていたのは、「ダリラ」と云う名だった事を記憶しているばかりなのです....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
《ただよ》っているだけだった。
「御主《おんあるじ》。守らせ給え!」
彼はこう
呟《つぶや》いてから、徐《おもむ》ろに頭《かしら》をもとへ返した。と、彼の傍《か....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
兵衛――兵衛は冥加《みょうが》な奴でござる。」――甚太夫は口惜《くちお》しそうに
呟《つぶや》いたまま、蘭袋に礼を云うつもりか、床の上へ乱れた頭《かしら》を垂れた....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
るように、男の頸《くび》へすがりついた。しかし眠を破られた男が、うるさそうに何か
呟《つぶや》いた声は、意外にも牧野に違いなかった。のみならずお蓮はその刹那《せつ....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
な事をしても、この過去を償《つぐの》うのだが。」
彼は泣きながら、心の底でこう
呟いた。が、限りなく深い、限りなく蒼い空は、まるでそれが耳へはいらないように、一....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
時は小鼻の上に涙のたまるのを感じていた。
「莫迦《ばか》だね。」
母はかすかに
呟《つぶや》いたまま、疲れたようにまた眼をつぶった。
顔を赤くした洋一は、看護....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
う》たる黄髪《こうはつ》の頭を、懶《ものう》げに傾けながら不相変《あいかわらず》
呟くような、かすかな声で、
「清くて読み奉らるる時には、上《かみ》は梵天帝釈《ぼ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
ぎる。本間さんは向うの気色《けしき》を窺《うかが》いながら、腹の中でざまを見ろと
呟きたくなった。
「政治上の差障《さしさわ》りさえなければ、僕も喜んで話しますが....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
澄まそうとするらしかった。
「はてな。剣の音なぞもするようだが。」
老人はこう
呟《つぶや》きながら、しばらくはそこに伸び上って、絶えず金粉を煽っている火事の煙....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
え》だけ枯れた木を見ながら、「おれはあの木とよく似ている。頭から先に参るのだ」と
呟《つぶや》いたことがあるそうである。この逸話は思い出す度にいつも戦慄《せんりつ....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
。 「おや、紙切れが落ちて来たが、――もしや御嬢さんの手紙じゃないか?」 こう
呟いた遠藤は、その紙切れを、拾い上げながらそっと隠した懐中電燈を出して、まん円な....
「初雪」より 著者:秋田滋
の水にじッと視入ったりしていた。 やがて彼女はまたしてもにっこり笑った。そして
呟くように云った。 「ああ! あたしは何て仕合わせなんだろう」 けれども彼女は....