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「味覚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

味覚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
るまではっきりと感じられた。酒も飲まないのだけれども、酔後の水と同様に、胃の腑に味覚ができて舌の知らない味を味わい得たと思うほど快く感じた。それほど胸の中は熱を....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
う間にも、私たちの愛はお前たちを暖め、慰め、励まし、人生の可能性をお前たちの心に味覚させずにおかないと私は思っている。だからこの書き物を私はお前たちにあてて書く....
檸檬」より 著者:梶井基次郎
か、まったくあの味には幽《かす》かな爽《さわ》やかななんとなく詩美と言ったような味覚が漂って来る。 察しはつくだろうが私にはまるで金がなかった。とは言えそんな....
富士」より 著者:岡本かの子
と別な世界ほどの在りようで比較の桟はしを徹し去らるるときわれ等の心路は何によって味覚に達すべき。かかるとき愕きもない平凡もない。強いていおうならば北斗南面して看....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
愛にまで直接に飜訳され易いからである。感覚の中でも、実生活に縁の近い触覚若しくは味覚などに依るよりも、非功利的な機能を多量に有する視覚聴覚の如きに依ろうとする。....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
まい」 逸作はまた彼の友が、K・S氏はさすがに芸術家だけあって、西洋人にしては味覚や嗅覚がデリケートなことに感心していたと告げた。 かの女はまた夫人に、稚子....
不沈軍艦の見本」より 著者:海野十三
赤味をおびた肉の一片を、ぽいと博士の口に投げ入れるなれば、かねて燻製ものには嗅覚味覚の鋭敏なる博士のことなれば、うむと呻って、思わずその一片を口の中でもぐもぐも....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
生ビールが、杜をこの上なく楽しませた。思わない御馳走だった。震災以来の桁ちがいの味覚であった。彼はお千に、では帰ろうと云った。お千は、ちょっと待ってと云いながら....
桃のある風景」より 著者:岡本かの子
あろう。 色、聞、香、味、触の五感覚の中で、母は意識しないが、特に嗅覚を中心に味覚と触覚に彼女の気鬱症は喘きを持ったらしいことが、私に勧める食餌の種類で判った....
異国食餌抄」より 著者:岡本かの子
より大切な時間と考えている。傍で見ていると、何とも云えず幸福そうに見える。それは味覚の世界に陶酔している姿に見える。恐らく大革命の騒ぎの最中でも、世界大戦の混乱....
岡本一平論」より 著者:岡本かの子
利己主義が、痛ましい程愛他的傾向になり初めました。 やがて、氏は大乗仏教をも、味覚しました、茲にもまた、氏の歓喜的|飛躍の著るしさを見ました。その後とて、決し....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
ゆっくり腰を下ろして居られた。うむ、うむ、と逸作は、旨いものでも喰べる時のような味覚のうなずきを声に立てながら息子の手紙を読んで居る。 ――ねえパパ。 ――....
山の湯雑記」より 著者:折口信夫
を呑んだ味は、今まで多く歩いた諸国の温泉の中では、一番旨いと思った。一つは、私の味覚に最叶う炭酸泉の量が多いからであろうと思う。が、其ほかにも、かわったものを含....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
った。 鉄の輪が、いつもこめかみを締めつけているように感じ、舌は、熱病のような味覚を持っていた。しかし、そうしているうちに、ふと横蔵の迫り方を思うと、いつかチ....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
第であって、それが国政の方法なのだった。それだからこそ彼女は国を治めるという乙な味覚を充分に楽しむことができ、潤沢な権力を思うさま使って事を決裁することもでき、....