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「呻く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

呻くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
親ごころ」より 著者:秋田滋
べど呼べど、応える声はなかった。けれども車大工には気のせいか、その辺の闇のなかで呻くような声が幽かに聞えるようだった。彼はながい間じッと耳を澄して聞いていた。あ....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
らせたくないので、背後へ、町へ、両の袂を叩いて払った。 そして、この血に餓えて呻く虫の、次第に勢を加えたにつけても、天気模様の憂慮しさに、居ながら見渡されるだ....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
汝が罪は消えぬのじゃ。女、さあ、私を頼め、足を頂け、こりゃこの杖に縋れ。」と蚊の呻くようなる声して、ぶつぶついうその音調は、一たび口を出でて、唇を垂れ蔽える鼻に....
取舵」より 著者:泉鏡花
しょうかなあ。」 渠は頸を延べ、耳を欹てて誨を俟てり。答うる者はあらで、婦女の呻く声のみ微々と聞えつ。 渠は居去りつつ捜寄れば、袂ありて手頭に触れぬ。 「ど....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
んです、音も何も聞えやしない。」 「もっともだね、ああ、もっともだとも。」 と呻くように多津吉は応じた。 「葉へも、白く降積ったような芭蕉の中から、頬被をした....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
「ま、姦通め。ううむ、おどれ等。」 「北国一だ。……危えよ。」 殺した声と、呻く声で、どたばた、どしんと音がすると、万歳と、向二階で喝采、ともろ声に喚いたの....
山吹」より 著者:泉鏡花
血汐浸む――取直す)――畜生――畜生――畜生――畜生―― 人形使 ううむ、(幽に呻く)ううむ、そうだ、そこだ。ちっと、へい、応えるぞ。ううむ、そうだ。まだだまだ....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
あれをどう解釈しているのか」 室戸博士の質問に、帆村は黙って下をむいた。やがて呻くような帆村の声が聞えた。 「……あれこそわれわれ地球人類に対して、恐るべき第....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
けになった。 そのうちに、彼の表情に、困惑の色が浮んできた。小首をかしげると、呻くようなこえで、 「……わからない。何のことやら、全然わけがわからない」 と....
」より 著者:海野十三
りしめていた。 「ああ、妹たち夫婦は、この雷鳴の中に、もう死んだに違いない」彼は呻くように云った。「北鳴四郎というやつは、八つ裂にしてもあき足らぬ悪漢だ。彼はお....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
、正九時を知らせる時計が鳴りだした。 「遂に電話は来ない。――」と検事は低い声で呻くように云った。「では不幸な男の手紙を開いてもよい時刻となったのだ」 そうい....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
配に気付いたものか、死んでいると思った青年が、白い眼を、すこし開いた。 そして呻くように言った。 「君、あれを聞きましたか。アメリカの飛行機のり奴、飛行機の上....
国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
これは唯事ではないと思うのですが……」 「唯事ではない――とは」博士が例の調子で呻くように言った。 「偶然の出来ごとでは無いというのかね」 「確かに、これは何か....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
ていた警部の顔は、だんだんと曇って来ました。とうとう彼は室の真中に棒立ちとなって呻くようにこんなことを呟いたのでありました。 「この室に残された記録から、犯人を....
地中魔」より 著者:海野十三
やるつもりなのだろうか? 魔手は伸びる 岩は片目をキョロキョロ廻しながら呻く様に物をいっている。 「どうだ。でかい所を覘ったものだろう。これより上に大き....