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呼売
「呼売〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
呼売の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「山の秋」より 著者:高村光太郎
の下でぼつぼつ食べていると、むかし巴里の街角で、「マロンショウ、マロンショウ」と
呼売していた焼栗の味をおもい出す。あの三角の紙包をポケットに入れて、あついのを歩....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
頃から、グレーヴの広場には一つの木組みが釘づけされる音が聞こえ、パリの四つ辻には
呼売人が嗄《しわが》れた声をはりあげて叫ぶのが聞こえる。 全部で六週間。あの若....
「小説中の女」より 著者:豊島与志雄
。そして隧道を過ぎたことも大船に着いたことも、殆ど気がつかなかった。 騒々しい
呼売の声に、初めて私は我に返って、ぼんやり眼を見開いてみた。明々として車室の中や....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
高宮《こうみや》、越知川《えちがわ》、武佐《むさ》、守山、草津と、大声をあげあげ
呼売りをして歩きました。 のろま清次のこの商売気がすっかり当って、宿場宿場の物....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
い路地に出ると「ばんよりはいりゃせんかア」と魚屋が、平べったいたらいを頭に乗せて
呼売りして歩いている。夜釣りの魚を晩選《ばんよ》りと云って漁師町から女衆が売りに....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
川|諏訪町《すわちょう》の桑名屋《くわなや》の二軒の鮨屋があったきり。もちろん、
呼売りなどはなかった。天保の始めからおいおい鮨屋がふえて、安宅《あたけ》の松の鮨....
「日記」より 著者:宮本百合子
うと確にわるい。 五月十一日(木曜)晴 六時起床。垣の外を変な、何だか判らない
呼売をして通って行く男がある。エー、ヤークレケキと云うような喉音。 渡辺氏は、....
「斬られの仙太」より 著者:三好十郎
七、八人の人声がして、その中からひときわ高くわめきながら一人で花道へ飛出して来る
呼売りの男。気早やに白地大型ゆかた、片肌脱ぎ、尻はしょり、向う鉢巻。腰に結びつけ....
「四十八人目」より 著者:森田草平
ほど見詰めていたが、何と思ったか人込みを分けて、つかつかと前へ進み出で、 「おい
呼売、一枚くれ!」と喚んだ。 「へえありがとうさま、一枚! もう後は五六枚しかあ....
「脚」より 著者:吉川英治
攘党がどうのと、昂奮した。時々には、近くに、時事を諷した落首が貼られたり、瓦版の
呼売りが、京都の志士の暗躍や、市井の押込み沙汰などを、触れ廻った。 「小塚ッ原で....