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「呼気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

呼気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
渦巻ける烏の群」より 著者:黒島伝治
、一人ずつ、別々に、息を切らしながら、雪の丘を攀《よ》じ登《のぼ》った。吐き出す呼気が凍《こご》って、防寒帽の房々した毛に、それが霜のようにかたまりついた。 ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
上げて、鐘を叩いた。そして、八時を報じたのであった。 「抱水クロラールだ」法水は呼気を嗅いだ顔を離すと、元気な声で云った。「瞳孔も縮小しているし、臭いもそれに違....
日常身辺の物理的諸問題」より 著者:寺田寅彦
た全くちがった作用をするのである。 ガラス面に水滴の着く事に関してはいわゆる「呼気像」(Hauchbild, breath figure)の問題として従来多少....
生ける人形」より 著者:寺田寅彦
芸術が人形使いの手先にばかりあるわけではない。舞台の右端から流れだす義太夫音楽の呼気がかからなければ決してあれだけの効果を生ずることはできないのはもちろんである....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
のである。面をかぶるとこの焦げ臭いにおいがいっそうひどい、そうして自分のはき出す呼気で面の内側が湿って来ると魚膠《うおにかわ》のにおいやら浅草紙のにおいやらとい....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
て、旦那方は御職掌で、人一倍、疑り深くいらっしゃいますから。」―― 一言ずつ、呼気を吐くと、骨だらけな胸がびくびく動く、そこへ節くれだった、爪の黒い掌をがばと....
追憶の冬夜」より 著者:寺田寅彦
もたない現代青年が、明治文学に興味の薄いのは当然かもしれない。ホヤの中にほうっと呼気を吹き込んでおいて棒きれの先に丸めた新聞紙できゅうきゅうと音をさせて拭くので....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
くっきり浮き出されてるアペニン連山の高い光った頂、香橙《オレンジ》の林、海の深い呼気など、周囲のすべてのものから、女の友のにこやかな顔が輝き出した。空気の無数の....
映画雑感(Ⅵ)」より 著者:寺田寅彦
てむっくり起上がって、まるで猛獣の吼えるような声を出したりまた不思議な嘯くような呼気音を立てたりする。この巫女の所作にもどこか我邦の巫女の神おろしのそれに似たと....
歳時記新註」より 著者:寺田寅彦
とるとて手を合せて鳩の声のようにふきならすなり」とある。丁度フラスコの口に斜めに呼気を吹き付ける時に出る音と同じ訳で、両掌の間の空洞内の空気が振動して音を出すの....
話の種」より 著者:寺田寅彦
管が二本出て口と鼻とに連絡し、巧みに弁の作用で、一方から新しい空気を送り、他方に呼気を出すようになっている。いったん吸うて出した汚れた空気は、背嚢に帰って苛性加....
決闘」より 著者:神西清
機嫌のラエーフスキイが言う、「だが僕は、それにもかかわらず敢てよき冬を択るね。『呼気は霜をむすんで、海狸の襟に銀とかがやく』〔〕か。」 「蓼喰う虫も何とやらさ」....
駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
たらどうするか」声はやや高かった。 「そんなことがありますか!」私は眼をみはって呼気をはずませた。 「いいか、君! 軌道と軌道の接続点におおよそ二分ばかりの間隙....
誤った鑑定」より 著者:小酒井不木
る場合には、絞める力が弱く、且つ吸息後に決行するから、死体の胸部を強く圧迫すると呼気を出すが、他絞即ち他人に頸をしめられる場合には、絞める力が強く、且つ呼息時に....
妖怪学」より 著者:井上円了
これから「法性寺入道前関白太政大臣様」といおうの――「法性寺入道前関白|云云」と呼気を切らずに三遍くり返しいうときは、落つるなり。 (七)やけどを治する呪....