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和ぎ
「和ぎ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
和ぎの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旅愁」より 著者:横光利一
「式の日はあなたの方で決めて下さる。」
千鶴子は黙っている矢代に少し不服そうな
和ぎで訊ねた。ここまで追いつまって来ていながらも、まだ一度も二人の結婚のことにつ....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
打解けたる状毫もなく、はた恥らえる風情も無かりき。 尉官は腕を拱きて、こもまた
和ぎたる体あらず、ほとんど五分時ばかりの間、互に眼と眼を見合せしが、遂に良人まず....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
かむ時しはあらむを故らに妻恋しつつ立ちて行くべしや」(巻四・五八五)、「海つ路の
和ぎなむ時も渡らなむかく立つ浪に船出すべしや」(巻九・一七八一)、「たらちねの母....
「置土産」より 著者:国木田独歩
けば、お絹は先に立ち往来を外れ田の畔をたどり、堤の腰を回るとすぐ海なり。沖はよく
和ぎて漣の皺もなく島山の黒き影に囲まれてその寂なるは深山の湖水かとも思わるるばか....
「球体派」より 著者:豊島与志雄
い。凡て球形のものには、円満具足の美があって、長い観賞に堪える。球形を見て喜びと
和ぎとを感じないものは、邪悪な心である。球形は完成の姿である。寺院の円屋根には一....
「女大学評論」より 著者:福沢諭吉
らげ声を雅《やわらか》にして諫べし。諫を聴ずして怒らば先づ暫く止めて、後に夫の心
和ぎたる時又諫べし。必ず気色を暴《あらく》し声をいらゝげて夫に逆い叛《そむく》こ....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
文学なんかではなおせない。あきらめてだいこんと名乗ることにしたが、あの日の屈辱が
和ぎえない劣敗感になって、いまでも心のどこかにしっかりとこびりついている。 あ....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
なかったと云う自分自身の誇を考えた。彼のお梶に対して懐いた嵐のような激動は、忽ち
和ぎ始めたのである。 お梶は、平素の通のお梶であった。彼女は夜着を着せてしまう....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
と思わるる静けさ。院長の可畏き、無人相の顔は、人智の開発に感ずるに従って、段々と
和ぎ、微笑をさえ浮べて来た。 『ああ、どうして、人は不死の者では無いか。』 と、....