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和らげ
「和らげ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
和らげの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
んぬ》に伴ってさしこんで来る痛みを憤怒と共にぐっと押えつけながら葉子はわざと声を
和らげた。そうして愛子の挙動を爪《つめ》の先ほども見のがすまいとした。愛子は黙っ....
「星座」より 著者:有島武郎
やです」
おせいは即座に答えた。父はむっとしたらしかったが、やがてしいて言葉を
和らげながら、
「そう膠《にべ》なくいっては話も何もできはしないがな。浅田さんの....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
また……いや、これからお宅へ行くところなんです。どうも失礼。」 と、多少言葉は
和らげながらも、まだぷりぷりしたような様子で行ってしまった。 「まあ、ほんとにい....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
にめざめようとするように。おのが身を世に知れず隠さんために、みずからの聡明の光を
和らげ、「予として冬、川を渉るがごとく、猶として四隣をおそるるがごとく、儼として....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
を持っていたと同時に、十数年以前からのこれらの親しかった旧い同志等の確執や冷淡を
和らげるという、特殊の一目的をも持っていた。が、それは無駄だった。僕等の間には、....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
よ。余りに俺の云うことが突飛だものネ」 鼠谷は怒るかと見せ、その後で直ぐ顔色を
和らげて八十助の機嫌をとるのだった。八十助はようやく気持を直した、それが策略であ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
りだしたものである。 「わかってくだされば、私はいいのです」とリット少将も言葉を
和らげ、 「とにかくこの飛行島は世界にはじめて現れたものだから、誰しも性能をうた....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
りゃそれで可いのだ。」 威をもって制することならずと見たる、お通は少しく気色を
和らげ、 「しかしねえ、お前、そこには人情というものがあるわね。まあ、考えてみて....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ザルスを亡き者にすることが出来ないまでも、せめては彼の顔から受ける恐ろしい印象を
和らげる事ぐらいは出来るであろうという意見で、腕のある画家や、理髪師や、芸術家ら....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
。茨を踏んで、痛みと血をまた夢にかよわせましょう。しかし、末起の苦痛をすこしでも
和らげることも、お姉さまの、神聖な義務だと思いますわ。末起は、あたくしが贈った本....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
煙突の林立も、およそ文化といい機械という雑色のなかにあってさえも、この沈鬱の気を
和らげるものではない。 ところが、四十町七丁目側の石崖が崩壊して、折角あった、....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
複合と云うことができるだろうね」 と、そこで言葉を截ち切って、法水はやや顔色を
和らげた。 「しかし、君にしても、おめおめ僕の手を待つとも思われないし、この事件....
「遁走」より 著者:葛西善蔵
がある。私は笹川の得意さを想うと同時に、そしてまた昨日からの彼に対する憤懣の情を
和らげることはできないながらに、どうかしてH先生のような立派な方に、彼の例の作家....
「審判」より 著者:カフカフランツ
った」と、支店長は言ったが、弱々しい、親しげな微笑だけがこの言葉のきびしい調子を
和らげているのだった。 (編者注 この断章は本文第七章に直接つながるものだったの....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
る。中ほどで森の中の空地のような小さな空間が田園ふうのオーボエで作られる。そこで
和らげられた魂が歌う。森の荘重なささやきとその巨大な呼吸とがそれを包んでいる。そ....