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哀訴
「哀訴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
哀訴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ねたそうです。と、お敏は眼を伏せて、「ええ、何も――」と答えましたが、すぐにまた
哀訴するような眼なざしを恐る恐る泰さんの顔へ挙げて、「やっと正気になりました時に....
「或る女」より 著者:有島武郎
見を拒もうとする様子が見えた。もし葉子の銀のように澄んだ涼しい声が、古藤を選んで
哀訴するらしく響かなかったら、古藤は葉子のいう事を聞いてはいなかったかもしれない....
「富士」より 著者:岡本かの子
れた。 翁は堪られなくなって声をかけた。 「娘よ。福慈神よ」 それは始めから
哀訴の声音だった。 女神の片眉が潜められたが声は美しく徹っていた。 「あら、ま....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
時江は嫂《あね》の素振りにいよいよ心元なく、ためらいながら吃《ども》りながらも、
哀訴を続けた。 「後生ですわ、お嫂《ねえ》さま。どうかわたしをかばってくださいま....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
がペンの手の甲にささやいた。 「もうあと二時間お待ちよ」 と、ペンの手は執拗に
哀訴する。 「僕は二時間たたないうちに、いなくなるかもしれないのだ。だから君よ、....
「家霊」より 著者:岡本かの子
して拝するように心もち顔を天井に向け、狛犬《こまいぬ》のように蹲《うずくま》り、
哀訴の声を呪文のように唱えた。 くめ子は、われとしもなく帳場を立上った。妙なも....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
人目についてきた。それでいて、結局最後に君江は金の機嫌を取り結ぶ――というよりも
哀訴することになるのだった。 これに反して金青年の機嫌は、前から見ると少し宛よ....
「地球盗難」より 著者:海野十三
て呉れたまえ。そして……そんなこわい顔をしないで……」 とドクトルは柄にもなく
哀訴した。 その言葉に大隅学士は、少し動かされた。 と、その瞬間の出来事だっ....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
でも即時死刑にする充分な理由であった、そしてその怒れる支配者の意に従うよりほかに
哀訴の道もなかったのである。死刑囚にただ一つの特権が許された、すなわち自害すると....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ている今の時代に、人殺しの罪を赦すなどということは出来るものでない。たとい私から
哀訴したところで、上でお取りあげにならないに決まっているから、こればかりは私の力....
「不沈軍艦の見本」より 著者:海野十三
して百|隻ばかりこしらえるんだ」 大統領は、あえぎながら、金博士の胸倉をとって
哀訴した。 「御覧になれば、なんだこんなものかと思われるですよ。はははは」 と....
「地底戦車の怪人」より 著者:海野十三
せることは、御無用にねがいたいもので……」 と、うしろを向いて、おろおろごえで
哀訴した。 「うしろを向いてはならん。それでは前進方向が、くるってくるではないか....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
とにかく先ず奥二階へ」 猛り立った智栄尼を俊良は奥二階へ連れて行き、左内と共に
哀訴嘆願。男子が二人揃って何度お辞儀をしたか拝んだか分らなかった。 つまりこの....
「一日一筆」より 著者:岡本綺堂
辛い人であるから、会話の成績が悪いとあるいは落第するかも知れぬと実事虚事打混ぜて
哀訴嘆願に及ぶと、案じるよりも産むが易く、ヘボンの字書なら買ってもいいということ....
「娘」より 著者:岡本かの子
。 眼が眩んで来て星のようなものが左右へ散る。心臓は破れそうだ。泣いて取縋って
哀訴したい気持ちが一ぱいだ。だが、青年の艇は大ような微笑そのものの静けさで、ぴた....