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唯
「唯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
唯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
い。」
彼等は二人とも笑いながら、気軽にこの家の前を通って行った。そのあとには
唯《ただ》凍《い》て切った道に彼等のどちらかが捨てて行った「ゴルデン・バット」の....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
り方につきまして、善悪とも先生の御意見を承りたいのでございます。と申しますのは、
唯今からざっと二十年ばかり以前、私はある思いもよらない出来事に出合いまして、その....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
労の反映が、もの思わしげな陰影を落していた。私は先達《せんだっ》ても今日の通り、
唯一色の黒の中に懶《ものう》い光を放っている、大きな真珠《しんじゅ》のネクタイピ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
いるものはありません。親子夫婦兄弟などというのはことごとく互いに苦しめ合うことを
唯一の楽しみにして暮らしているのです。ことに家族制度というものは莫迦げている以上....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
更ないではなかった。が、それにも増して堪え難かったのは、念友《ねんゆう》の求馬を
唯一人|甚太夫《じんだゆう》に託すと云う事であった。そこで彼は敵打《かたきうち》....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
り、不相変《あいかわらず》静かに寝入っている!
「いよいよこの小倅《こせがれ》は
唯者ではない。」
清正は香染《こうぞ》めの法衣《ころも》に隠した戒刀《かいとう....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
。おぎんは釈迦が生まれた時、天と地とを指しながら、「天上天下《てんじょうてんげ》
唯我独尊《ゆいがどくそん》」と獅子吼《ししく》した事などは信じていない。その代り....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
炎の声だ。それがお前にはわからないのか。わからなければ、勝手にするが好い。おれは
唯お前に尋ねるのだ。すぐにこの女の子を送り返すか、それともおれの言いつけに背くか....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
な心もちがする。又実際、過去の記憶に照して見ても、そうでなかった事は一度もない。
唯、この弟たるべき自分が、時々向うの好意にもたれかゝって、あるまじき勝手な熱を吹....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
う。江口の一本気の性格は、この黒熱した鉄だと云う気がする。繰返して云うが、決して
唯の鉄のような所謂快男児などの類ではない。 それから江口の頭は批評家よりも、や....
「久保田万太郎氏」より 著者:芥川竜之介
彙に加えたる新熟語なり。久保田君の時に浮ぶる微笑も微苦笑と称するを妨げざるべし。
唯僕をして云わしむれば、これを微哀笑と称するの或は適切なるを思わざる能わず。 ....
「久米正雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
から出ているのです。 序にもう一つ制限を加えましょうか。それは久米が田舎者でも
唯の田舎者ではないと云う事です。尤もこれはじゃ何だと云われると少し困りますが、ま....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
、かつ初めに苦しい経験を甞めた人でもあり、また他方で巨万の富をすてて科学の発見を
唯一の目的とした人の事であるから、もっともなことである。初めの苦しい経験というの....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
。 イカバッドがこの楽天地を一目見た瞬間から、彼の心の平和は消えてしまい、彼の
唯一の念願は、どうしたらヴァン・タッセルのたぐいない娘の愛情をかちえることができ....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
らない。も五年でも、十年でもいい、もっともっと火華を散し、火華を咲かせたかった。
唯々、惜しいことをしたと思い続けているのみである。 ここに十巻の全集が世に贈ら....