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唯に
「唯に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
唯にの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
》に御辛抱なすって、また来春お出でなさいまし」と、亭主は言った。 次郎左衛門は
唯にやにや笑いながら草鞋《わらじ》の紐を結んで出た。それが果たして今年の内に出直....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
顔にここに忍んでござるでないか」 今度は別に言い訳をしようともしないで、兼輔は
唯にやにやと笑っていた。実をいうと、彼もそういう心構えがないでもない。自分ほどの....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れたかを驚き怪しんで、みんな口々にその事情を訊きただしたが、得意満面の多左衛門は
唯にやにやと笑っているばかりで、詳しい説明をあたえなかった。 そうなると一種の....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
った。 それに引きかえ、実に妾はこの四五日なんとなく肩の凝りが鬱積したようで、
唯に気持がわるくて仕方がなかった。考えてみるのに、それは静枝が来てからこっちの緩....
「地球盗難」より 著者:海野十三
ことは後に至って分ったが、始めのうちは、何のため、こんな奇妙な形にしてあるのか、
唯に物珍らしさに目をみはるばかりだった。 「だが、一体おれはこれからどうなるんだ....
「無惨」より 著者:黒岩涙香
者の見立で夜の二時から三時の間と分って居ますから戸締をして有た事は重々|確です、
唯に戸締りばかりでは無い外妾の腹では不意に旦那が戸を叩けば何所から逃すと云う事ま....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
って来た? 何処で?」
野暮先生正に何処かで捨子を拾って来たのだと思うた。爺は
唯にや/\笑って居た。其は私生児であった。お春さんの私生児であった。
お春さん....
「雷同性に富む現代女流画家」より 著者:上村松園
す。新しい形式のみを讃めるということが強ち自己の鑑識を高めるものではありません。
唯に新しき批評家を以て、自称せんがために、純然たる自分の要求を裏切って、片暈やじ....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
人に知られている事を好まない。秘密にする必要がない事でも、君江は人に問われると、
唯にやにや笑いにまぎらすか、そうでなければ口から出まかせな虚言《うそ》をつく。最....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
でさえ誤り易い岩石の鑑定が、素養のない吾々に間違なく出来る筈はないのであるから、
唯に感じたままを無責任に記して置く許りである。 七月二十七日。午前六時四十五分、....