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商う
「商う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
商うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
わねえ。 今日はもうお菜が出来たから要らないよサ。合点なるめえじゃねえか。私が
商う魚だって、品に因っちゃ好嫌えは当然だ。ものを見てよ、その上で欲しくなきゃ止す....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
である。道に添って川が流れ、川岸には夏草が花咲いている。 仏像を売る家、香華を
商う店、様々の商店が並んでいたが、けばけばしい色彩は見られない。 往来には人々....
「春昼」より 著者:泉鏡花
その時、向う詰の岸に踞んで、ト釣っていたものがあったでござる。橋詰の小店、荒物を
商う家の亭主で、身体の痩せて引緊ったには似ない、褌の緩い男で、因果とのべつ釣をし....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
取った茶店が一張。片側に立樹の茂った空地の森を風情にして、如法の婆さんが煮ばなを
商う。これは無くてはなるまい。あの、火薬庫を前途にして目黒へ通う赤い道は、かかる....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
な祭礼でも、寂びたもので、お市、豆捻、薄荷糖なぞは、お婆さんが白髪に手抜を巻いて
商う。何でも買いなの小父さんは、紺の筒袖を突張らかして懐手の黙然たるのみ。景気の....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
見ざる真似して、少年が手に傾けた件の畚を横目に、 「生憎、沙魚、海津、小鮒などを
商う魚屋がなくって困る。奥さんは何も知らず、銑太郎なお欺くべしじゃが、あの、お松....
「露肆」より 著者:泉鏡花
、また使うであすソ。それ利くであしょ。」と嘗め廻す体に、足許なんぞじろじろと見て
商う。高野山秘法の名灸。 やにわに長い手を伸ばされて、はっと後しざりをする、娘....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
遣香などの荒物、烟草も封印なしの一銭五厘二銭玉、ぱいれっと、ひーろーぐらいな処を
商う店がある、真中が抜裏の路地になって合角に格子戸|造の仕舞家が一軒。 江崎と....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
、媽々が西洋の音楽とやらを教えて、その婆がまた、小笠原礼法|躾方、活花、茶の湯を
商う、何でもごたごた娘子の好な者を商法にするッていいます。」 「ははあ何でも屋だ....
「昔尊く」より 著者:上村松園
たので、そちらへ宿がえすることになったわけでした。 従来、私どもの家はお茶々を
商うのが家の業いでございまして、蛸薬師下るの方へ移りましても矢張お茶々の商売をい....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
すから値段も少し安かった。しかし薬としては非常に効能があるそうでチベットの血角を
商う大商人に鑑定して貰ってその後に買いましたのですから確かなものでございます。
....
「河豚食わぬ非常識」より 著者:北大路魯山人
だ。 それが一人前最高の五円当たりにして六万人分であるから一人前一円くらいから
商う料理店などを加えて口数を想像するとき、話半分の三十万円から概算しても、なおか....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
一 明治も改元して左程しばらく経たぬ頃、魚河岸に白魚と鮎を専門に
商う小笹屋という店があった。店と言っても家構えがあるわけでなく鮪や鮫を売る問屋の....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
洩らしたが、ひそかに慧鶴を呼び寄せ娘の手紙を示し乍ら「恋女房とさし向いで、呉服を
商うのもまた風雅ではないか」としきりに彼に還俗をすすめた。けれども慧鶴は承知しな....
「雨の宿」より 著者:岩本素白
、中京も淋しい位静かな町筋の、暗く奥深い呉服屋や、古い扇屋、袋物みせ、さては何を
商う家とも、よそ土地の者には一寸分りかねるような家々に挟まれた、まことに古風な小....