喀血[語句情報] »
喀血
「喀血〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
喀血の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の夜」より 著者:芥川竜之介
白《こんがすり》らしい着物でも、ほとんど清太郎とそっくりである。しかしおとといも
喀血《かっけつ》した患者《かんじゃ》の清太郎が出て来るはずはない。況《いわん》や....
「彼」より 著者:芥川竜之介
か》り、ベッドの上に横たわったまま、おお声に彼等を叱《しか》りつけた、と同時に大
喀血《だいかっけつ》をし、すぐに死んだとか云うことだった。僕は黒い枠《わく》のつ....
「星座」より 著者:有島武郎
自分の肉体が病菌によって蝕《むしば》まれていきつつあるということを思い知らせた。
喀血《かっけつ》の前にはきっとこの感じが先駆のようにやってくるのだった。
清逸....
「仇討禁止令」より 著者:菊池寛
てしまえば、命などはちっとも惜しくはございません」と、いった。 新一郎が、突然
喀血したのは、それから間もなくであった。蒲柳の質である彼は、いつの間にか肺を侵さ....
「振動魔」より 著者:海野十三
苦心に苦心を重ねた牝豚夫人の堕胎術には成功したのだったが、その夜彼は突如として大
喀血に襲われ、急に四十度を超える高熱にとりつかれて床についてしまった。彼の意識は....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
◯徹郎君より長文の手紙来る。目下の心境を綴りて悲憤す。同情にたえず。 ◯起きる。
喀血はようやくおさまりたるもののごとし。 ◯庭に月光白し。 もう空襲もなく、静....
「易と手相」より 著者:菊池寛
不幸があるという兇相が現われたのである。駭いて帰郷の支度をしているとき、彼自身が
喀血して死んだと云うのである。掌中の兇相は自分自身の身上であったことに気がつかな....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
活の重荷に堪えなかったのも無理はない。いわんや肺病の恋人と肺病の母とを持ち、母の
喀血を目睹した彼女の胸中を察すればふびんに堪えない。私はひたすらに彼女の今後にお....
「落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
郎に、あちらへ行けと申しました。兄が、急に苦しくなったと云い、すぐ洗面器に半分程
喀血いたしました。 またある日。 私と信二郎と叔母と春彦とブリッジに夢中にな....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
いは空しかった。 これが、私が彼女を見た最後となったのだ。 私は程なく彼女が
喀血したという事を姉から聞いた。 私は心配したが見舞いに行く事は出来なかった。....
「光は影を」より 著者:岸田国士
ですが、僕の経験だと、手紙によつては、意外に大きなショックを与えられますから……
喀血の久しく止つていた患者が、ある種の内容の手紙を読んだとたん、大
喀血をした例も....
「吉岡芳兼様へ」より 著者:織田作之助
来たのです。ここで「赤い」といったのは「恐怖」の表現です。この「赤」は佐伯の頭に
喀血の色と見えるのです。 冒頭の一節、「古雑布」「古綿を千切る」「古障子」など....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
ない理由といって別に深い理論を訊き出そうとするのではなかった。二度も続いて起った
喀血で、死の恐怖に縮み上ってしまった政枝はどうせ死ぬことに決った自分なら、肺患者....
「ひとりすまう」より 著者:織田作之助
「どうか成さいまして?」 ぼくは勿論返答出来なかった。ただじっと息をこらして、
喀血の止まるのを待っていた。二三度吐いた。全く情無かった。
喀血その事よりも、見知....
「雨」より 著者:織田作之助
そう思うことによって豹一は自らをさげすみ、又、女をさげすんだ。 三日経つと再び
喀血した。重態ときかされ、自分の過去を振りかえって見た。絶えず自分の存在をたしか....