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喉仏
「喉仏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
喉仏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
んど、鼻と一つになった唇を、何か物でも噛んでいるように動かした。細い喉で、尖った
喉仏《のどぼとけ》の動いているのが見える。その時、その喉から、鴉《からす》の啼く....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
人は云った。と、磨ぎ澄まされた大メスが、乙女の手で渡された。その刃先がブッツリと
喉仏の下へ刺されたとたん、犠牲者の全身を貫いて、波のような痙攣が伝わったが、次の....
「笑い」より 著者:寺田寅彦
もしれないが、問題はこれが「笑い」の前奏として起こる点にある。 舌を出したり咽
喉仏を引っ込めて「あゝ」という気のきかない声を出したり、まぶたをひっくり返された....
「読書の今昔」より 著者:寺田寅彦
でもあった。それに比べて、求める心のないうちから嘴を引き明けて英語、ドイツ語と咽
喉仏を押し倒すように詰め込まれる今の学童は実にしあわせなものであり、また考えよう....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
か。さあ、やらっしゃい。ええ! 埒のあかぬ。」 と両手に襟を押開けて、仰様に咽
喉仏を示したるを、謙三郎はまたたきもせで、ややしばらく瞶めたるが、銃剣|一閃し、....
「田原氏の犯罪」より 著者:豊島与志雄
ていたが、時々立っていって徳蔵の方を覗いた。徳蔵は胸をはだけ、枕から頭を滑らして
喉仏を露わし、手足を伸べて、ぐっすり寝込んでいた。その全身をぐたりと縁側の上に托....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
進んだ。信子はつと身を引いて、唇を少し歪めながら天井を仰いだ。痩せた襟筋に小さな
喉仏が見えた。 「ええ私酔ってますわ。」と彼女は云った。 木下は陰惨な瞬きをし....
「足」より 著者:豊島与志雄
初めてその様子を見調べてみた。髪の毛の薄い、痩せ細った、病身らしい男で、長い首に
喉仏が高く出ていた。浅黒い顔の色艶は、呼吸器か消化器かが悪い者のようで、眼の光が....
「春」より 著者:豊島与志雄
濯されたことのない布団である。いくら日に干しても湿っぽく汚れている。その襟から、
喉仏を露わにぬっと首がのびて、首の先の固い重い大きな頭が、枕にずっしりとのっかっ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
・ヴァルジャンは黙っていた。
テナルディエは襟飾《えりかざ》りとしてるぼろ布を
喉仏《のどぼとけ》の所まで引き上げた。それは真剣になった様子を充分に示す身振りだ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
の間にか、光沢を失っていたし、眼の縁に、薄黒い影が滲み出し、頬の艶が無くなり、咽
喉仏の骨が、とげとげしく突き出していた。
「保《も》つまいか」
「さあ――」
....
「接吻」より 著者:神西清
何者だか痩せ形の青年が一人、ちょっぴり人参色の頬髯を生やし、つっ立っていて、変に
喉仏へからませた発音でもって何やら声高に英語を喋っていた。その一団のかげになって....
「三つの痣」より 著者:小酒井不木
。円形のドームを見るような女の腹にメスを入れたとき、男の頸部前面に出て居る所謂咽
喉仏が一度上下致しました。これを見た私は、幾分か彼の心を動かし得たことを思って愉....
「肉腫」より 著者:小酒井不木
。患者の顔には、無力にされた仇敵を見るときのような満足な表情が浮び、二三度その咽
喉仏が上下した。彼の眼は、二の腕以下の存在には気づかぬものの如く、ひたすらに肉腫....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
ていったじゃあねえか。」 「これから、これへ、」と作平は垢じみた細い皺だらけの咽
喉仏を露出して、握拳で仕方を見せる。 五助も我知らず、ばくりと口を開いて、 「....