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喘息
「喘息〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
喘息の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
っていた。兄は病気の加減もあったのかことさらに陰鬱《いんうつ》だった。若いくせに
喘息《ぜんそく》が嵩《こう》じて肺気腫の気味になっていたが、ややともすると誰にも....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
。二人は言いあわせたように、大きな眼をギョロギョロと光らせ、頬はゲッソリとこけ、
喘息患者のようにヒイヒイと喘いでいた。過去において、かくも憔悴しきった二人の戦隊....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
で寝ている酒気を帯びた父の鼾が喉にからまって苦しそうだ。父は中年で一たん治まった
喘息が、またこの頃きざして来た。昨今の気候の変調が今夜は特別苦しそうだ。明日の遠....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
らいで留めはしない……冬の日の暗い納戸で、糸車をじい……じい……村も浮世も寒さに
喘息を病んだように響かせながら、猟夫に真裸になれ、と歯茎を緊めて厳に言った。経帷....
「落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
。うすぐらいスタンドのあかりを枕許によせつけて、父はそこに喘いでおります。持病の
喘息が、今日のような、じめじめした日には必ずおこるのです。秋になったというのに、....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
、戦争、そのことが一時も頭をさらず絶えず神経がピリピリしていた。父は二三年前より
喘息が発病し、彼岸の頃になると決ったように起り、戦争や会社の任務の影響でそれがだ....
「母と娘」より 著者:岡本かの子
の毒瓦斯か、味方のものか解らないのです。其の毒瓦斯に気管から肺を侵されて恐ろしい
喘息になったのです。夜昼なしの十年間の苦しみでした。ウウウーと唸る声は夫の死後八....
「晩春」より 著者:岡本かの子
。そんなに魚が見度かったら、水族館へでも行けば好いじゃないか。順ちゃんがね、また
喘息を起したからお医者へ連れて行ってお呉れ」 忙がしく母親が呼ぶ声を聞いて鈴子....
「錦紗」より 著者:犬田卯
…彼女は庭先へ入って家の中をうかがった。――誰もいないでくれればいいが……だが、
喘息気味で仕事を休んでいた母親が、すぐに見つけて土間から声をかけて来た。 「何だ....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
は春木座にも出勤した。そうして、相変わらず二銭団洲で売っていたが、かれには持病の
喘息があった。それが重くなってしばらく舞台を休んでいるうちに、かれは遂に下谷池の....
「遁走」より 著者:葛西善蔵
って下宿に帰って、床につくとすぐ眠ることはできた。しかし朝眼が醒めてみると、私は
喘息の発作状態に陥っていた。昨夜の激情が、祟ったのだ。 雨が降っていた。私はま....
「審判」より 著者:カフカフランツ
。それは、そのために、Kが支店長に非常な愛情を覚えた瞬間、この弱々しい、病身の、
喘息持ちの、きわめて責任ある仕事をいっぱい負わされた人物から、Kの幸福と未来につ....
「変身」より 著者:カフカフランツ
体も自由に動かなくなっていた。そこで母親が働かなければならないのだろうが、これが
喘息もちで、家のなかを歩くのにさえ骨が折れる始末であって、一日おきに呼吸困難に陥....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
まり恥を忍んでこうした筆を取りました。それによると御病気の様子、それも例の持病の
喘息とばかりでなく、もっと心にかかる状態のように伺われますが、いかがでございます....
「魯迅さん」より 著者:内山完造
午前十時に会うことにしておった。そうしたら朝、魯迅さんが手紙をよこして、昨夜から
喘息がおこって、松本に会えないよろしくたのむ、須藤さんにすぐ来てもらいたいという....