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喪章
「喪章〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
喪章の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
、余は紗《しゃ》で金箔《きんぱく》を巻いた弔旗《ちょうき》の頭を思い出した。この
喪章《もしょう》と関係のある球の中から出る光線によって、薄く照らされた白衣《はく....
「ナポレオンと田虫」より 著者:横光利一
を数えられた。国内には廃兵が充満した。祷りの声が各戸の入口から聞えて来た。行人の
喪章は到る処に見受けられた。しかし、ナポレオンは、まだ密かにロシアを遠征する機会....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
の盆で、墓地が賑やかである。細君が鶴子の為に母屋の小さな床に茄子馬をかざり、黒い
喪章をつけたおもちゃの国旗をかざり、ほおずきやら烏瓜やら小さな栗やら色々|供物を....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
、最近の数年来大衆作家となり、出版社をおこし、企業家として成功しつつあった。腕に
喪章をまき、日ごろのあからがおも蒼ざめて見える久留雅雄は、やはり通俗作家となって....
「田舎」より 著者:プレヴォーマルセル
long lad なんぞと云うたちである。金は無い。親を亡くした当座で、左の腕に
喪章を附けている。その時のマドレエヌはどうであったか。栗色の髪の毛がマドンナのよ....
「幼年時代」より 著者:堀辰雄
かった。それは私がその海軍士官の腕に、私以外には誰もそれを思いつかなかった、黒い
喪章をちょっと添えただけの事のためらしかった。(それは明治大帝がおかくれになって....
「ベルリン大学」より 著者:寺田寅彦
ルフ・シュミット教授は何となく憂鬱な感じのする人であった。いつも背広の片腕に黒い
喪章を巻いていたような気がする。しかし実に頭のいい先生だと思って敬服していた。言....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
《ふほう》を、ペテルブルグから受け取ったばかりのころであったが、しかも彼は帽子に
喪章をつけたまま、飲み歩いたり、醜態の限りを尽くしていたので、この町で最もひどい....
「雪の女王」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
、むすめがいいました。「それでさ、おかみさんがらすも、やもめになって、黒い毛糸の
喪章を足につけてね、ないてばかりいるっていうけれど、うわさだけだろう。さあ、こん....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
。二日にして大佐は地に埋められ、三日にして忘られてしまった。
マリユスは帽子に
喪章をつけた。ただそれだけのことだった。
五 弥撒《ミサ》に列して革命派となる....
「可愛い女」より 著者:神西清
思って下さいまし。天にも地にも身寄りのない女を……」 彼女はずっと黒い服に白い
喪章をつけて押し通し、帽子や手袋はもはや生涯身につけぬことにきめ、外へ出るのもご....
「海豹島」より 著者:久生十蘭
《ざん》岩に屍衣のようにぼんやりと纒いつき、黄昏のような色をした雪原の上に海鴨が
喪章のように点々と散らばっている。悲哀にみちた風景であった。 骨を刺すような冷....
「地上」より 著者:島田清次郎
ゆく能力を奪われている我が民族であった。しかしそれにしても全国の家々の軒に黒色の
喪章を付けた国旗が掲げられ、路ゆく人の胸部や腕部に黒い
喪章を見かけるとき、人々は....
「嫁入り支度」より 著者:神西清
すっかり老いこんだチカマーソフ夫人の姿があった。彼女は黒い喪服に身をつつみ、白の
喪章をつけ、ソファーにかけて何やら縫物をしていた。それと並んで、小がらな老人が、....
「三国志」より 著者:吉川英治
か」 「わかりました」 「どうだ、諸君」 「ご名策です」 幕僚は、その場で皆、
喪章をつけた。――そして将軍旗の竿頭にも、弔章が附せられた。 ――曹操死す。 ....