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喫する
「喫する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
喫するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「西航日録」より 著者:井上円了
ず。要するに、シナ人は飲酒をたしなまざるもののごとし。ただ飲酒の代わりに、阿片を
喫するをもって無上の楽しみとするのみ。日本人は阿片の代わりに飲酒をたしなむ。阿片....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
て歓迎せらる。即時に同氏の宅に至り、冷茶を喫す。ドイツにては、暑中は氷水にて茶を
喫すること流行するという。これより博物館、公園、遊覧台、植物園等を巡覧す。 独逸....
「幸運の黒子」より 著者:海野十三
《た》めた財布のお陰で南伊豆《みなみいず》まで遠出をし、温泉気分と夫婦生活とを満
喫することができた。 だが、東京に帰ってくると半平は重病になって、どっと床に就....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
、君主の前に義務を尽くしているのに過ぎなかった。彼は、恋愛の代りに、義務や服従を
喫するのに、飽き果ててしまっていた。 彼の生活が荒《すさ》むに従って、彼は単な....
「天馬」より 著者:金史良
田中が大村に案内されていないとしても、誰かに連れられてきっとこの界隈へ朝鮮色を満
喫するために来ているに違いなかった。成るべくは大村君と一緒でないようにと……彼は....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
替で午前中にひけるはずでしたから、伝六の怪しげなる腕まえによって調理された朝食を
喫すると、あまりぞっとしない顔つきで、むっつりとしながら出仕いたしました。例のよ....
「香魚の讃」より 著者:佐藤垢石
が棲んで、長さ六間の竿を強引に引きまわす。そして背の肌が淡藍に細身の鮎は、風味賞
喫するに足るであろう。 奥利根の釣聖、茂市の風貌に接するのも一つの語り草にはな....
「雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
から肥ゆるを覚えるのである。けれど、この清冷肌に徹する流水に泳ぐ山女魚の鮮脂を賞
喫する道楽は、深渓を探る釣り人にばかり恵まれた奢りであろう。水際の猫楊の花が鵞毛....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
らこの手紙の末段を読むに到って、漱石氏がその頃案外俳句に熱心であったことに一驚を
喫するのである。実はその頃の私たちは俳句に於ては漱石氏などは眼中になかったといっ....
「HUMAN LOST」より 著者:太宰治
寛は、午前三時でも、四時でも、やはり、はね起き、而《しか》して必ず早すぎる朝食を
喫するという。すべて、みな、この憂さに沈むことの害毒を人一倍知れる心弱くやさしき....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
たやつが、白熊テレサと彼女の over voluptuousness を専有し満
喫するのだ。甘い物のげっぷと一しょに、いつもの「ふらんす女・涙の半生」を機械的に....
「認識論とは何か」より 著者:戸坂潤
い。つまり、構成主義が無条件にリアリズム的模写説を排撃することは、どこかで失敗を
喫するのだ。 カント自身「対象X」なるものを持ち出して来る。之は真理性を有った....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
身であったが、いつも相手の考えの妙に不条理なというよりは、妙に不安定な点に一驚を
喫するのであった。そして何が、いったい『瞑想者《めいそうしゃ》』の心を、こんなに....
「西瓜」より 著者:永井荷風
い。酒を買って酔を催すのも徒事である。酔うて人を罵るに至っては悪事である。烟草を
喫するのもまた徒事。書を購《あがな》って読まざるもまた徒事である。読んで後記憶せ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れを保護する役目にもなる。関守氏としては、個人の趣味を満足せしめ、その蒐集慾を満
喫することになるのだが、その結果は放漫に終るのではない――ということを能弁に任せ....