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「嗄声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

嗄声の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
武蔵野」より 著者:国木田独歩
《となり》が納豆売《なっとううり》の老爺の住家で、毎朝早く納豆《なっとう》納豆と嗄声《しわがれごえ》で呼んで都のほうへ向かって出かける。夏の短夜が間もなく明ける....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
はうまいのかまずいのか判らなかったが、連翹の花を距てた母屋から聴えるのびやかな皺嗄声を聴くと、執着の流れを覚束なく棹さす一個の人間がしみじみ憐れに思えた。 養....
四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
味方は此処に居るに相違ない。 「助けてくれ助けてくれ!」 と破れた人間離のした嗄声が咽喉を衝いて迸出たが、応ずる者なし。大きな声が夜の空を劈いて四方へ響渡った....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
五郎とが飛び出して来た。 「恐ろしい事じゃ! 勿体ない事じゃ!」 杉右衛門が、嗄声で叫んだものである。 「宗介天狗は裸身でござる!」 桐五郎が続いて叫んだ。....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
《いきなり》、「阿父《おとっ》さんは? ……」と如何《どう》やら人の声のような皺嗄声《しゃがれごえ》で聞くと、母は妙な面《かお》をしたが、「到頭|不好《いけなか....
南地心中」より 著者:泉鏡花
や、私をお知らせや。」 とお珊が云った。 伝五|爺は、懐を大きく、仰天した皺嗄声を振絞って、 「多一か、多一はん――御寮人様はここじゃ。」と喚く。 早や柵....
丹下左膳」より 著者:林不忘
をひきあけたお艶、 「ヨウ! 来たね」 という客の、すこし訛《なま》りをおびた嗄声《かれごえ》で、なんだか聞きおぼえのあるような気がして、かすかにさげていた頭....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
」と右近丸は胸をそらせた。 「今しがた来た古道具買に……」 「誠か※」と云ったが嗄声である。「で、そやつ、どの方角へ?」 「はい……一向……その辺りの所は……」....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
の屋敷だ」 妻も唾を飲んだらしい。運転手が扉を開けようとした。 「待て」と私は嗄声で制した。窓のカーテンを掻い遣った。妻の鬢の毛が頬に触れた。 佐伯家の厳め....
二人町奴」より 著者:国枝史郎
進み出た十三郎に押され、土岐与左衛門圧迫を感じ、タッタッと三足ほど退いたが、やや嗄声で、 「さあ方々!」 声に応じて三四十人、与左衛門の部下一斉に、刀を抜いた....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
い一番鶏の声が軽子河岸《かるこがし》の朝焼けに吸われて行った。 突然、葬式彦が嗄声《かれごえ》揚《あ》げて唄い出した。 「女だてらに お茶漬け一|杯《ぺえ....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
、その謡が、あれなの、あれ……」 「ええ。」 「そのおなじ謡が、土塀の中からも、嗄声で聞こえるので、堪らなくなって、あとじさりをしながら、背後を見ると、今居たと....