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「嗜む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

嗜むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
けたのを、やがてお茶漬で掻込んだのを見て、その時は太く嬉しがった。 得てこれを嗜むもの、河野の一門に一人も無し、で、夫人も口惜いが不可いそうである。 「ここで....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
人間の娘より、柔々として膏が滴る……甘味ぞのッ。」 は凄じい。 が、かく菌を嗜むせいだろうと人は言った、まだ杢若に不思議なのは、日南では、影形が薄ぼやけて、....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
いうのであった。が、紅い襷で、色白な娘が運んだ、煎茶と煙草盆を袖に控えて、さまで嗜むともない、その、伊達に持った煙草入を手にした時、―― 「……あれは女の児だっ....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
お貞は今思出したらむがごとく煙管を取りて、覚束無げに一服吸いつ。 渠は煙草を嗜むにあらねど、憂を忘れ草というに頼りて、飲習わんとぞ務むるなる、深く吸いたれば....
高原の太陽」より 著者:岡本かの子
見るようになった。あらゆる都会の文化も悦楽も青年の魂を慰めなかった。年少から酒を嗜むようになったのも、その空虚な気持ちを紛らすためと云ってよかった。 「だが不思....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
のラショワ島が一国であるのを忘れたとみえますのう。総じて貴人というものは、上淫を嗜むのです。そなた二人は、虹とだに雲の上にかける思いと――いう、恋歌を御存じか。....
歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
八九年先んじて出て、おなじ手法で進もうとする技工本位の運動であった。其が、赤彦の嗜む古典のがっしり調子と行きあって、方向を転じて了うたが、『氷魚』の末から『太※....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
っている宮廷周囲の文化圏の中においてであり、その範囲内の人たちが漢詩と対立させて嗜む和歌は、事実上文字に書く創作詩だけに限られてきたためである。このようにして、....
蘭学事始」より 著者:菊池寛
例《ためし》には、かようなこともござる。アーンテレッケンと申す言葉がござる。好き嗜むという言葉でござるが、われら、通辞の家に生れ、幼少の折より、この言葉を覚え、....
茶美生活」より 著者:北大路魯山人
ではないか。千人を集めて、五十人さえあやしいであろう。お茶全盛の今日、百万人茶を嗜む者ありとして十万人はおろか、五万、三万の眼利きさえ見出し難いであろう。これが....
運命」より 著者:幸田露伴
かに前轍を改む、と云い、一念の微なるも、鬼神降監す、安しとする所に安んずる勿れ、嗜む所を嗜む勿れ、といい、表裏|交々修めて、本末一致せんといえる如き、恰も神を奉....
文士としての兆民先生」より 著者:幸徳秋水
て、安くに在る哉。蓋し吾人情性皆悩中一種の構造に繋る者にして其庶物の観に於けるや嗜む所あり嗜まざる所有り。而して庶物の形状声音是の如く其れ蕃庶なりと雖も之を要す....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
った葉巻の箱を下して前へ出しました。私の家では質素な生活はしていましたが、主人が嗜むので、葉巻だけはいつもあるのでした。 何といい出したものかと胸騒ぎがします....
アーニイ・パイルの前に立ちて」より 著者:小林一三
、酔うことの嬉しさも、眠ることの楽しみもない。しかし、酒は興味のある人、無い人、嗜む人、嫌な人もある。水に至っては、淡々として無味、何人も手を放すことの出来ない....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
呆然としてそこに佇んでいる道場主釜淵番五郎のところに飛んでいきました。 「武道を嗜む者が道を誤まるとは何ごとじゃッ。無辜の人命|害めし罪は免れまいぞ! 主水之介....