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「嗜虐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

嗜虐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
道標」より 著者:宮本百合子
でパリの生活に神経質になっている磯崎恭介に対して、須美子びいきの形からにしろ彼に嗜虐めいた感情をもつことを、伸子はこわく思ったのだった。 そのとき、二人はなが....
ヒューマニズムへの道」より 著者:宮本百合子
の場面での問題、島木氏が悲壮な闘士のポーズとして描き出している心理の観照的態度、嗜虐性等は真の意味での健全な闘志の表現としては、少からずいかがわしいものであった....
不必要な誠実論」より 著者:宮本百合子
る鞭のような響きを立てる云いかたかもしれないが、私は歴史というものに対してもっと嗜虐的でない感情を抱いております。私たち共通の未熟さというものについては、あなた....
社会時評」より 著者:戸坂潤
、どの場合にも主に、神様か人間かの区別があるだけで、とに角偉い存在の審美的な又は嗜虐的な娯楽のために、スポーツが存在したのだ。今日では神様はスポーツを好くか好か....
盈虚」より 著者:中島敦
の棄鉢《すてばち》な情熱の吐け口を闘※戯に見出していた。射倖心《しゃこうしん》や嗜虐性の満足を求める以外に、逞しい雄※の姿への美的な耽溺でもある。余り裕《ゆた》....
狼疾記」より 著者:中島敦
いたのだ。後《のち》に考えて見ても、それは明らかに、幼い心に恐怖を与えようとする嗜虐症《しぎゃくしょう》的な目的で、その毒液を、その後に何らの抵抗素も緩和剤をも....
山中常盤双紙」より 著者:寺田寅彦
と同時に、また一方ではおそらく昔の戦乱時代の武将などに共通であったろうと思われる嗜虐的なアブノーマル・サイコロジーに対する適当な刺戟として役立ったものであろうと....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
面の一所へ据えられた。 その様子を見ると左門は、本来なれば、性来の悪魔性が――嗜虐性が、ムクムクと胸へ込み上げて来、この純情の処女の心を、嫉妬と猜疑とで、穢し....
環礁」より 著者:中島敦
二年前までコロールの街にいたのだが、公学校三年生の時、年下の女の児にひどく悪性の嗜虐《しぎゃく》症的な悪戯《いたずら》をして、その児をほとんど死に瀕せしめたとい....
双面獣」より 著者:牧逸馬
だが、今、グリイン検察官がこのドロシイ殺しの手口を見ると、不必要な程屍体を弄んで嗜虐症とも謂う可き観を遺している点と言い、殊に小刀《ナイフ》の扱い方がまるで外科....
澪標」より 著者:外村繁
うしても自分から足を開くことはできなかったと言う。 しかし私はとく子を辱めて、嗜虐的な快感を昧おうとするのではない。医者といっても男である。とく子は男の前に女....
私本太平記」より 著者:吉川英治
らべていた。どっちの性も未知である。しかし藤夜叉を屈伏させてみることに伴うほどな嗜虐味は、小右京の清麗さには期待できない。 「……ま、主膳めに、まかせておこう。....
私本太平記」より 著者:吉川英治
え、この日、情報によってすでに知っていた足利軍を、はるかな眼下に見つつ、ひそかに嗜虐的な笑みをふくんでいたのだが、ほとんど、予期していた対峙も見ない電瞬のまに「....
私本太平記」より 著者:吉川英治
夢幻と昂奮の渦にひきこむのか。または子供の野性というものは、余りに美しいものへは嗜虐的に、かえって無性な暴に誘惑されて挑みかかってみたくなるものか。 見ると、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
魚だ、しかも大魚と、たのしんでいるのかもしれぬ、敵はな」 「尊氏でしょう、這奴の嗜虐、やりおりそうなことではあります」 「いや、敵の腹はどうあるとも、末期に、こ....