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噛み切る
「噛み切る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
噛み切るの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あやかしの鼓」より 著者:夢野久作
凄さ……私は瞬《まばたき》一つせずその顔を見上げた。 未亡人は一句一句、奥歯で
噛み切るように云った。 「覚悟をしてお聞きなさい。よござんすか。私の前の主人は私....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
ける。この小紙片がすなわち不審紙である。不審の箇所をマークする紙片の意味である。
噛み切る時に赤い紙の表を上にして噛み切り、それをそのまま舌に移し次に爪に移して貼....
「重兵衛さんの一家」より 著者:寺田寅彦
でもあるか、重兵衛さんが真白な歯の間へ真白なにんにくの一片をくわえて、かりかりと
噛み切る光景が鮮明なクローズアップとなって想い出される。幼時の記憶には実に些末な....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
女は顔を上げなかった。耳髱がブルブル顫えていた。色がだんだん紅くなった。バッチリ
噛み切る歯音がした。鬢の垂れ毛を噛み切ったらしい。 若侍は徳利を取った。自分の....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
が、抱き上げると、玄白斎は、舌を噛んでいた。舌が半分、口の外に現れていたが、もう
噛み切る力もなかった。白眼を見せて、灰色の顔に、死の蔭が、濃く彩っていた。
三....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
息綱《いきづな》につかまっておいでなさいまし……口をきいちゃアいけませんぜ。舌を
噛み切るからね」 顎十郎とひょろ松が、それへ乗る。 「それッ、行け!」 引綱....
「採峰徘菌愚」より 著者:佐藤垢石
縛った。その縛った肉を人差し指に載せ、飛び帰ってきた蜂の前へ出すと、蜂は蛇の肉を
噛み切る労力を惜しむものと見えて指の上の小粒の蛇へ食いついた。 食いついて、し....
「卑怯な毒殺」より 著者:小酒井不木
から、窓から飛び降りることも出来ない。顎が半分欠けて、前歯がなくなったから、舌を
噛み切ることも出来ない。こういうあわれな状態だから、医員は、皮肉にも毒薬を調合し....