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噴く
「噴く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
噴くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
やがて又ぴっしゃりと閉め切って古びた手あぶりの前に坐って、小さい鉄瓶の口から軽く
噴く湯煙りのゆくえを見つめていた。 座敷の片隅には寝床が延べてあった。先月の末....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ぐにはずれた。 柴はやがて燃え上がったらしい。地獄の底から紅蓮《ぐれん》の焔を
噴くように、真っ赤な火のかたまりが坑いっぱいになって炎々と高くあがると、その凄ま....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
出すのでは面白くないので、そこには陶器の蛙が取り付けてあって、その蛙の口から水を
噴くようになっている。巧みに出来ているのは、蛙の口から可なりに高く噴きあげるので....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
々と陽がさしつつ、それで、ちらちらと白いものが飛んで、奥山に、熊が人立して、針を
噴くような雪であった。 朝飯が済んでしばらくすると、境はしくしくと腹が疼みだし....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
麓を見ると、塵焼場だという、煙突が、豚の鼻面のように低く仰向いて、むくむくと煙を
噴くのが、黒くもならず、青々と一条立騰って、空なる昼の月に淡く消える。これも夜中....
「雷」より 著者:海野十三
かな挨拶に、英三とても自らの僻んだ性根に赭くなって恥入ったくらいだった。 火を
噴くかと思われた恋敵同士の会見が、意外にも穏かに進行していったので、一座は思わず....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
ンと、微に鉄瓶の湯が沸るような音が交る。が、それでないと、湯気のけはいも、血汐が
噴くようで、凄じい。 雪次郎はハッと立って、座敷の中を四五|度廻った。――衝と....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
掉ったり、避けつ払いつしていたが、日脚の加減か、この折から、ぶくぶくと溝から泡の
噴く体に数を増した。 人情、なぜか、筵の上のその皓体に集らせたくないので、背後....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
帯び、茸のくさりかかったような面を視た。水に拙いのであろう。喘ぐ――しかむ、泡を
噴く。が、あるいは鳥に対する隠形の一術であろうも計られぬ。 「ばか。」 投棄て....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
が上にも情熱の火を燃やす。遠空にかすむ火山の円錐がこの死闘を静かに見おろして煙を
噴く。 鶴見はその画の中に、人生における情熱と冷酷な現実との瞬間に縮められた永....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
あろう。 三|間幅――並木の道は、真白にキラキラと太陽に光って、ごろた石は炎を
噴く……両側の松は梢から、枝から、おのが影をおのが幹にのみ這わせつつ、真黒な蛇の....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
の釦だ。捻る、押すか、一たび指が動けば、横浜、神戸から大船が一艘、波を切って煙を
噴くんだ。喝!」 と大きな口をあけながら、目を細く、頻に次の間を頤で教えて、目....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
にも似ている。名の優しい香箱を売る姉さんだが、悪く値切ろうものなら泡のごとく毒を
噴く。 びしゃびしゃ、茣蓙を着て並んで、砂つきの小鰯のぴかりと光るのを売る姉え....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
し、またその先に戸村牛岳|起つ。戸村牛岳の左に石狩岳樹を帯び、その右に硫黄岳煙を
噴く。眼を西に転ずれば、旭岳と北鎮岳とが近く相対峙す。在来の書物には旭岳よりも北....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
年という永い歳月の間に自然だとて不平不満がない筈はない。その鬱積がいまここに火を
噴くのだ。人間だとて同じことだ。この五百年の間に皮相な慾望で塗り籠められた人間の....