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嚥
「嚥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嚥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
いものだった。彼女は病家の主人だの病院の医者だのとの関係上、何度一塊の青酸加里を
嚥《の》もうとしたことだか知れなかった。この過去はいつか彼女の心に他人の苦痛を享....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
………」
「それは斬罪があるからだけさ。脳味噌《のうみそ》の黒焼きなどは日本でも
嚥《の》んでいる。」
「まさか。」
「いや、まさかじゃない。僕も
嚥んだ。尤《もっ....
「死後」より 著者:芥川竜之介
的に良心の昂進《こうしん》するのを避けるために〇・五|瓦《グラム》のアダリン錠を
嚥《の》み、昏々とした眠りに沈んでしまった。……
(大正十四年九月)....
「夢」より 著者:芥川竜之介
しにはわからなかった。しかしわたしは無気味になり、女中に床をとらせた上、眠り薬を
嚥《の》んで眠ることにした。
わたしの目を醒《さ》ましたのはかれこれ十時に近....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
者は月に向かえる美人の姿の輝くばかりなるを打ち瞶《まも》りつつ、固唾《かたず》を
嚥《の》みてその語るを待てり。白糸は始めに口籠《くちご》もりたりしが、直ちに心を....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
で、勝手な議論を闘わした。それは所轄警察署へ急報するまでに、事件の性質をハッキリ
嚥みこんで、できるならば二人でもって手柄を立てたかったのである。それは刑事たちに....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
た。 かの運転手は早速返事をして途中まで喋《しゃべ》ったが、そこであとの言葉を
嚥《の》みこんだ。そして俄《にわか》に彼は一つの創作をひねりだしてそれを以て返事....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
したのでは、怖じ気をふるったようでみっともないから、未練も逡巡もぐんぐん胸の奥へ
嚥みこんで、なんでも持っておいでなさい一切承知しましたと、リーマン博士の提案を全....
「雷」より 著者:海野十三
議な紳士の顔を穴のあくほど見詰めていた松吉は、やがて大きく眼を見張り、息をグッと
嚥むようにして叫んだ。 「ホウ、立派になってはいるが、お前さんはたしかに北鳴四郎....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
して杜はそれが多勢の生徒の前であることに気づき、出かかった言葉をグッとのどの奥に
嚥みこんだ。 「――じゃ、小山に入ってもらうか」 英語劇「ジュリアス・シーザー....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
は悪い。」 と調子はおっとり聞こえたが、これを耳にすると斉しく、立二は焼火箸を
嚥んだように突立った。 ト、佳い薫が、すっと横を抜けて通って、そのまま後姿で前....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
かけるのだから」 「ああ、あすこ? まだ体の具合は悪いの?」 「やっぱり薬ばかり
嚥んでいる。催眠薬だけでも大変だよ。ヴェロナアル、ノイロナアル、トリオナアル、ヌ....
「狂人日記」より 著者:井上紅梅
がとても醜い。いつも死肉を食って、どんな大きな骨でもパリパリと咬み砕き、腹の中に
嚥み下してしまう。想い出しても恐ろしいものだが、この「海乙那」は狼の親類で、狼は....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
と大きな懐中物で、四角に膨れた胸を撫でつつ、 「何ともいえないので、まるで熱鉄を
嚥下す心持でがすよ。はあ、それじゃ昨日、晩方にも苦しみましたな。」 「ああ、そう....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
ずれば、一層の艶を増して鮮かに活動し、如何なる魚類にても、一度び之を見れば、必ず
嚥下せずには已むまじと思われ、愈必勝を期して疑わず。 二仕掛を左右舷に下し終り....