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囁く
「囁く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
囁くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
。私の耳もとでは誰かが嬉しそうに嘲笑《あざわら》いながら、「それだ。それだ。」と
囁くような心もちさえ致します。私はまだ火をともさない店先の薄明りで、慌《あわただ....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
事を考えると、我ながら気が違っていたのかとさえ疑われる。しかし己は、そう囁いた。
囁くまいと思いながら、歯を食いしばってまでも囁いた。己にはそれが何故《なぜ》囁き....
「路上」より 著者:芥川竜之介
集りになったようでございました。」
老人は目脂《めやに》だらけの眼を見張って、
囁くようにこう云った。が、新田はその答には頓着《とんちゃく》する気色《けしき》も....
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
ものが、目にこそ見えね、わが耳のほとりに蹲《うずくま》りて、淫《みだ》らなる恋を
囁くにや」と、身ぶるいして申されたり。われ、その一部始終を心の中《うち》に繰返し....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
しきり風が動いたと思うと、まっさきにひらりと舞上ります。と、かすかな砂煙の中から
囁くような声が起って、そこここに白く散らかっていた紙屑が、たちまちアスファルトの....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
何の花か、その薫の影はないが、透通って、きらきら、露を揺って、幽な波を描いて恋を
囁くかと思われる一種微妙な匂が有って、掻巻の袖を辿って来て、和かに面を撫でる。 ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
を上ずらせながら、その時泣いたように激しく泣いていた。 ふと「クララ」と耳近く
囁くアグネスの声に驚かされてクララは顔を上げた。空想の中に描かれていたアプスの淋....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
ば、跨ぐ。敷居に置けば、蹴る、脇へずらせば踏もうとする。 「ちょッ。」 一樹の
囁く処によれば、こうした能狂言の客の不作法さは、場所にはよろうが、芝居にも、映画....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
えますか、) と言います。 (ココだ、ココだ、と云う声が、)と、耳へ口をつけて
囁くんです。それから、それへ段々、また耳移しに。 (失物はココにある、というお知....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
しそう。二人三人、世話人が、列の柵|摺れに往きつ還りつ、時々顔を合わせて、二人|
囁く、直ぐに別れてまた一人、別な世話人とちょっと出遇う。中に一人落しものをしたよ....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ものは善いものだ、善い人間が己れのために悪いことをするはずがない、などと口の中で
囁く癖があった。この男がたまたま酒でちらつく目にこの醜い犬を見付けて、この犬をさ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、いつか心の取られた耳へ、蘆の根の泡立つ音、葉末を風の戦ぐ声、あたかも天地の呟き
囁くがごとく、我が身の上を語るのを、ただ夢のように聞きながら、顔の地蔵に似たなど....
「寡婦」より 著者:秋田滋
花を貰いました。また、毎晩、その子は部屋へあがって行く前に私の手に接吻して、こう
囁くのでした。 「僕はあなたを愛しています!」 私が悪かったのです、ほんとうに....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
落ち付かぬ容子をして、亭主と同じように切りに思い出そうとしていたが、出し抜けに、
囁くような声でこう云った。 「そう、そう――だけど、あのひとのほうが髪の毛が黒い....
「活人形」より 著者:泉鏡花
難有え、と無法に大きな声をするにぞ、主人は叱りて、「馬鹿め、人が聞かあ。後は何を
囁くか小声にてちっとも聞えず。少時して一人その室を立出で、泰助の潜みたる、四番室....