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囚われる
「囚われる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
囚われるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仇討三態」より 著者:菊池寛
敵の紋所を見たからといって、心をみだすべきではない。それは捨て去ったはずの煩悩に
囚われることである。まして、広い日本国中に、二つない紋所とは限っていない。故郷の....
「俊寛」より 著者:菊池寛
た。 二人の友達が黙ってしまうと、俊寛の心も張合いが抜けたように、淡い悲しみに
囚われる。彼にも、島の生活がたまらなく苦痛になってきた。都へ帰りたい。そうした渇....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
りです。所詮、一心に迷うものは衆生です。一心を覚るものが仏です。小さい「自我」に
囚われるかぎり、人生は苦です。たしかに人生は苦です。しかし、一たび小さい自我の「....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
て苦い新婚の夢であった。 その夢もわずか九カ月ばかりで破れてしまう。僕は巣鴨に
囚われる。そしてしばらくするうちに、余罪で、思いの外に刑期が延びる。雑誌は人手に....
「大自然を讃う」より 著者:豊島与志雄
れらのものは、生活に必要であり、活動力を刺戟しはする。然しながら、それらのものに
囚われる時、それらのものばかりを追い求むる時、人はただ功利に走って、本当の生活の....
「生活について」より 著者:豊島与志雄
ないほどに近い。妥当な批判をなさんとしてるうちに、人は知らず識らず、架空的な幻に
囚われることが多い。自分の才能や性格や境遇などを考察して、自分の生活の方向を定め....
「野に声なし」より 著者:豊島与志雄
けれど、芸術家という型だけは固定的なものであってはいけない。 固定した一の型に
囚われる芸術家は、物の見方や感じ方や考え方に於て、人生に臨む態度に於て、芸術に対....
「傍人の言」より 著者:豊島与志雄
、凡て理想などというものもそうだ。理想を道具として使用してるうちはよいが、理想に
囚われると外皮の硬化が将来される。林房雄の「青年」などは、素朴な思念に救われてい....
「意欲の窒息」より 著者:豊島与志雄
当面すると、すぐに嫌気がさして苛立つ。現実に対する適応性が全くなく、常に孤立感に
囚われる。そしてその孤立感のなかで、内省へ内省へと不断に駆り立てられる。内省の世....
「上海の渋面」より 著者:豊島与志雄
経の、重積してる群集の中にはいると、往々、自分がその中で溺れ、窒息しそうな幻影に
囚われることがある。大陸的神経ということが云われる。然しそれだけでは言葉が足りな....
「或る作家の厄日」より 著者:豊島与志雄
返事がない。 「もういい。」 さよ子は足音をしのばして出て行った。 何物にも
囚われるな。そうだ。おれはジンのグラスを置いて、日本酒の燗にかかった。余り早く酔....
「科学上における権威の価値と弊害」より 著者:寺田寅彦
て自然を見なくなり、宗教家は経典に囚われて生きた人間を忘れ、学者はオーソリチーに
囚われる。そして物質界を赤裸々のままで見る事を忘れる。美術家は時に原始人に立返っ....
「椿の花の赤」より 著者:豊島与志雄
にも嫌疑はかけられないと正枝は断言した。話を詳しく聞いて私は、何か不可解な気持に
囚われるのをどうすることも出来なかった。勿論、李を疑うわけではない。別所を疑うわ....
「純粋経済学要論」より 著者:手塚寿郎
である所の富の生産論すなわち農業・工業・商業の理論のあることを信ずるには、学派に
囚われることなくわずかに反省するところがあれば足りるのである。ただここで直ちにい....
「良寛様の書」より 著者:北大路魯山人
境の活動を喪失してしまっているものであって、芸術上大切な生命の大部分は、悲しくも
囚われるの一事に奪われている病芸術といわねばならない。いわば虫に喰われている樹木....