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因る
「因る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
因るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
は自分でも思っていた。現に今でも栄之丞を貢《みつ》いでいた。しかしそれは相手にも
因ることで、いかに不実な男に対する面当てでも、彼女は無宿同様の次郎左衛門に付きま....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ここで賽は河野の手に在矣。ともかくもソレ勝負、丁か半かは酒井家の意志の存する処に
因るのみとぞなんぬる。 先生が不承知を言えばだけれども、諾、とあればそれまで。....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
表情は、実に憎みによって奪い取って来た愛の鬼子が、彼の衷にあって彼を刺戟するのに
因るのではないか。私はよくこの苦々しい悒鬱を知っている。それは人間が辛うじて到達....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
発展されるようになったのである。 その中で特に著しいものは、遊星の生成は太陽に
因るものであり、従って遊星は本来から太陽系に属するものだという仮定である。この考....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
は更けたし、潮時を見計らって、……確にそれに相違無い。 トそういう自分が、事に
因ると、茶番の合棒、発頭人と思われているかも知れん。先刻入ったという怪しい婆々が....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
です、灸の皮切も同じ事さ。どうにも勝手が分らない。痛いんだか、痒いんだか、風説に
因ると擽ったいとね。多分私も擽ったかろうと思う。……ところがあいにく、母親が操正....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
だのッて、皆嫌な奴さ。ありゃ名でもって同じような申分のあるのが出来るのは、土地に
因るんだとね。かえって利口なのも有るんだって。」 「また、詰らないことを言出した....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
か。」 「詰らないことを。」 客は引緊った口許に微笑した。 「しかし、土地にも
因るだろうが、奥州の原か、飛騨の山で見た日には、気絶をしないじゃ済むまいけれど、....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
顔を瞻りながら、 「また愚痴だ、と言うだろうが、後で考えれば、私は今までの経験に
因ると、いつでも、湯の中でフイと気が立って、何だか頻りにそわついて、よくも洗わな....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
で、汽車でぐるりと一廻り、直ぐに石動から御堂へ戻ると、貴辺はまだ上りがある。事に
因ると、先へ帰って茶を沸して相待てます。それが宜しい、そうなさって。ああ、御承知....
「兎と猫」より 著者:井上紅梅
彼等の交合の時において甚しい。しかし、わたしの猫を打《う》つ理由は、彼等の交合に
因るのではなく、彼等の騒ぎに
因るので、騒がれるとわたしは眠れないからである。わた....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
いたずらに穿鑿する。だが、多くの人が自殺をするのは、以上の手記にあるようなことに
因るのであろう。....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
直義とが敵味方に引き分かれることになった。その不和の原因もやはり師直の讒誣中傷に
因ると伝えられていた。直義はわが身のあやういのを恐れて、一旦は都を落ちのびたが、....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
になったような有様で。 「理窟はないとおっしゃいますがね、先生、時と場合と代物に
因るんですよ。何も口の端を抓られるばかりが口惜いというんじゃアありません、時に因....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
では一体、何が私たちの運命というものを支配するのでしょうか。 世間には、血統に
因るいろいろの素質とか、祖先はじめ現在の両親などから与えられているいろいろの境遇....