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「因循〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

因循の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
とく古藤は胸の金《きん》ぼたんをはめたりはずしたりしながら、 「僕は今まで自分の因循からあなたに対しても木村に対してもほんとうに友情らしい友情を現わさなかったの....
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
繁さんは、兄さんはそれだからいけないわ。今の若さで東京が恋しくないのは、男の癖に因循な証拠ですよ。生意気いうようだけど、柏崎に居ったって東京を忘れられては困るわ....
冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
薄うく埃をかむった薬壜が何本も空《から》になっている。なんという倦怠、なんという因循だろう。私の病鬱は、おそらく他所の部屋には棲《す》んでいない冬の蠅をさえ棲《....
後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
なくなってしまいました。ほとんどなくなってしまいましたから、私はいわゆる坊主臭い因循的《いんじゅんてき》の考えになってきました。それでまた私ばかりでなく私を教え....
突貫紀行」より 著者:幸田露伴
、同じく頭痛す。 二十八日、少許《すこし》の金と福島までの馬車券とを得ければ、因循《いんじゅん》日を費さんよりは苦しくとも出発せんと馬車にて仙台を立ち、日なお....
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
て以来、勤王の志を懐き、ひそかに同志を糾合していた。しかし元来が親藩であったし、因循姑息の藩士が多かったから、尊王撰夷などに、耳もかそうとはしないので、同志を募....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
大|陥没地へ身を投げるつもりか……」 「そうだ、初志を貫く。だいたいこれが、僕の因循姑息からはじまったことだから、むろん、じぶんが蒔いた種はじぶんで苅るつもりだ....
姉川合戦」より 著者:菊池寛
推して知るべきである。これに比ぶれば、朝倉方は大将自身出馬せず、しかも大将義景の因循姑息の気が、おのずと将士の気持にしみ渡っていただろうから、浅井家の将士ほど真....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
れあり候ところ、表には勅命尊奉の姿にて、始終|虚喝を事とし、言を左右によせて万端因循にうち過ぎ、外夷拒絶談判の期限等にいたるまで叡聞を欺きたてまつる。あまつさえ....
春昼」より 著者:泉鏡花
らいなんですもの。仏教はこれから法燈の輝く時です。それだのに、何故か、貴下がたが因循して引込思案でいらっしゃる。」 頻に耳を傾けたが、 「さよう、如何にも、は....
貞操問答」より 著者:菊池寛
世話になることは、自分で退引ならぬ羽目に自分を追い込んで行くような気がした。 「因循|姑息な地味な商売より、当りさえすれば儲けのある水商売の方が、やはり女の人に....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
開展するのである。その姿をおぼろげにながめやりながら、彼はその一々に頷いている。因循して旧を守っていて好いものか、それとも破壊してまでも急進すべきものであろうか....
S夫人への手紙」より 著者:岸田国士
おいても、学校においても、平和的な日本人をつくるという口実のもとに、卑屈、怯懦、因循姑息な日本人をこのうえつくる結果になつたら、まことに、新憲法の精神に添わぬ教....
新らしき文学」より 著者:坂口安吾
い。懐疑それ自身は別である、突きつめるところ、自信なく、且つ自己を主張せんとする因循な衒学的な気取りはもう私に必要でない。我々の時代には飛ぶ矢は常に飛んでいる。....
アーニイ・パイルの前に立ちて」より 著者:小林一三
の旗印を立てて、松竹に肉迫した往年の勇気はない。守勢に立つ怯弱な方針に終始して、因循姑息でその日暮しの間に新進の敵手が現われて、かならず彼等を圧迫するに至るであ....