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囮
「囮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
囮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
器用に動かしながら、煙草《たばこ》の煙が紫色に顔をかすめるのを払っていた。自分を
囮《おとり》にまで使おうとする無礼もあなたなればこそなんともいわずにいるのだとい....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
銀八がここでは話が出来ないから、ちょいと其処まで来てくれと云う。つまりはおさんを
囮《おとり》にして、お種を誘い出したのです。おさんは嚇かされているので、迂濶に口....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
った。 「道楽者と云ったところで、安い野郎だ。あいつ案外の正直者だから、なにかの
囮《おとり》になるかも知れねえ。まあ、当分は放し飼いだ」 途中で松吉に別れて、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
かった。十六の年から母の代稽古として弟子たちを教えていたが、容貌の好いのが唯一の
囮になって、男弟子もだいぶ入り込むようになった。したがって歌女寿のふところ都合も....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の底に棲んでいる筈はない。これは水練に達した盗賊が水の底にかくれていて、錦の帯を
囮に往来の旅人を引き摺り込んで、その懐中物や着物をみんな剥ぎ取るのだろうと云うん....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
はとてもおとなしくしていられなかった。詰まらない男に引っかかって、金が欲しさに女
囮もやった。湯屋の板の間もかせいだ。そのうちにお俊はこの近所の魚屋からふとお蝶の....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
……まだ夜の暗いうちに山道をずんずん上って、案内者の指揮の場所で、かすみを張って
囮を揚げると、夜明け前、霧のしらじらに、向うの尾上を、ぱっとこちらの山の端へ渡る....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
あの院長も気の毒な位いあせっていたらしいが、しかしどうも、ああ云う無邪気な連中を
囮に使ってのこんな惨酷な仕事には、好意はもてませんね」 博士はそう云って司法主....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
鰻だとて、やはり時代文化に取り残されたような魚ではないか。衰亡の人間が衰亡の虫を
囮につかって衰亡の魚を捉えて娯しみにする。その灯明り――何と憐れ深い情景であろう....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
をものほしそうにながめているのです。それで僕はこいつは物になると思って、その罐を
囮に手近かの部落まで、とうとうドドをなにもせずにひっ張ってきたのです」 「なるほ....
「幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
「そうかね、どういう考えか」 「あれは、わが和島丸を雷撃した怪潜水艦がつかった
囮だと思います」 「それは至極同感だね」と、船長は、賛意を表しました。 「その怪....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
そこを捕らえれば、一番てっとり早いではないか。つまり杉田は、川上を釣りだすための
囮なのじゃ」 「驚きましたね、川上が死んだのに、
囮を飼っておくなんて……凡そ馬鹿....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
密閉された峯吉の採炭場の入口の近くで、全く予期しない出来事にぶつかってしまった。
囮になった浅川監督は、人一倍優れた膂力を持っていたし、その上武器も持っていれば、....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
まえば、小坂部もそれに牽かされて素直に都へ戻って来るに相違ない。彼は采女を一種の
囮にして、強情な小坂部を引き戻して行こうと巧らんだのであった。 この打ち合わせ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
急病 系図 一寸手懸 宵にちらり 妖怪沙汰 乱れ髪 籠の
囮 幻影 破廂 夫婦喧嘩 みるめ、かぐはな 無理 強迫 走馬燈 血....