困苦[語句情報] »
困苦
「困苦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
困苦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
な閉門を命ずることを許さなかった。 越前領一帯、その年は近年希な凶作で、百姓の
困苦一方ではなかった。家老たちは、袖を連ねて忠直卿の御前に出《い》で、年貢米の一....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
した船を裏返す努力に力を尽くした。残る四人の心も君と変わりはないと見えて、険しい
困苦と戦いながら、四人とも君のいる舷のほうへ集まって来た。そして申し合わしたよう....
「戦争中止を望む」より 著者:伊丹万作
に対する強力なる意志と、周到なる計画性とその実行力とを示してくれるならばいかなる
困苦にも堪え得るものであるが、現実においてあらゆる事態がその無計画無能力を暴露し....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
ち果し得るという神変不可思議の術じゃ。また、忍術とは、即ち忍びの術なり。如何なる
困苦にも堪うるを、これ能く忍ぶという、一瞬にして五体を隠す所謂五遁の術をも、これ....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
雪の夜でも押切って宿舎する訳には行かない。憎いとは思いながらも、非常の不便を忍び
困苦を甘受せねばならぬ。斯様《こう》いう民衆の態度や料簡方《りょうけんかた》は、....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
は、もう正気ではなかつた証拠であった。実際久しいあいだの心労と老年に、この最後の
困苦が加わって、かれはもう自分を支える力を失っていた。自分でもどれほどひどくなっ....
「俊寛」より 著者:倉田百三
域の無人の山に飢えた獣のようになって、十五年間もさまよい暮らしました。しかしその
困苦に耐えきってついに漢王の都に帰ることができたではありませんか。 俊寛 あゝ、....
「科学的新聞記者」より 著者:桐生悠々
い創造的思想家の心理を示していない。ハイゼンベルクとディラークとの革命的にして、
困苦な、輝かしい報知は神秘主義を産まない。それは創造的なものが非創造的なものに対....
「神経」より 著者:織田作之助
じめて明るい電燈がついて、千日前の一角を煌々と照らしているとか、参ちゃんはどんな
困苦に遭遇しても文化の糧である書籍を売ることをやめなかったとか、毒にも薬にもなら....
「独逸の範とすべき点」より 著者:国枝史郎
無しに、端的に放出させて芸術を形成するのを特色としている。 敗戦して心身ともに
困苦の極にあった独逸人にとっては、従来の、自由主義的、自然主義的、印象主義的文学....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
年十二月中のこととか、友人の家に雇い入れおきし男、夜中しきりにうなされ、いかにも
困苦の様子なるにより、喚起しやらんずる途端に、「火事よ、火事よ」と呼ばわる声聞こ....
「明治懐顧」より 著者:上村松園
一回あって苦しい思い出、楽しい回想は尽きません。 今大東亜戦下の国民はあらゆる
困苦に耐えています。節電は街を暗くし、交通機関も無駄な旅を戒めています。何となく....
「城」より 著者:カフカフランツ
そしてそうした生活を今と同じようにあのころにも耐えていました。わたしたちはひどい
困苦のなかにいたとはいえ、あの子よりもずっとよかったのです。むろん、わたしたちは....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
堅固なる城塁よ。
傲り蔑する
気性ある少女子よ。
占領したきはこの二つ。
艱難
困苦は大なれど、
その成功こそめでたけれ。
召募の喇叭よ。
汝が響くに任す。
....
「正に芸術の試煉期」より 著者:小川未明
わるであろう。そして、第一義の献身的、教化的精神に立つことを回避する。それには、
困苦と闘争が予想されるからだ。芸術の権威は、彼等によって、すでに軟化される。そし....