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囲う
「囲う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
囲うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
った。
この店は卓も腰掛けも、ニスを塗らない白木《しらき》だった。おまけに店を
囲う物は、江戸伝来の葭簀《よしず》だった。だから洋食は食っていても、ほとんど洋食....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
含んでいる。近松秋江《ちかまつしゅうこう》の『意気なこと』という短篇小説は「女を
囲う」ことに関している。そうして異性間の尋常ならざる交渉は媚態《びたい》の皆無を....
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
場をはずす積もりらしい、酔いにまぎらせてよろけながら席を起《た》つと、お花は彼を
囲うようにして、一緒に起った。ほかの女たちもそれを機《しお》に、この面倒な座敷を....
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
討つ者を妨げいたす者は、一人も容赦はない」と、実之助は一刀の鞘を払った。実之助を
囲う群衆も、皆ことごとく身構えた。すると、その時、市九郎はしわがれた声を張り上げ....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
出すものはなかった。人間の世界から離れ、こうした自然界に対する時、忠直卿は自分を
囲う偽りの膜から身を脱出し得たように、すがすがしい心持がした。 ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の男が突っ立っていた。自分を投げた男ばかりでなく、ほかにも猶ひとりの虚無僧が女を
囲うように附き添っていた。 相手は二人で、しかもそれが虚無僧である以上、相当に....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
を掻いた。 その時姉が、並んで来たのを、衝と前へ出ると、ぴったりと妹をうしろに
囲うと、筒袖だが、袖を開いて、小腕で庇って、いたいけな掌をパッと開いて、鏃の如く....
「死者の書」より 著者:折口信夫
ても、村なかの男は何の憚りなく、垣を踏み越えて処女の蔀戸をほとほとと叩く。石城を
囲うた村には、そんなことは、一切なかった。だから、美し女の家に、奴隷になって住み....
「巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
ンの上で日の光を受け止めている。短い秋を見限ってテラスの真ん中の丸暖炉と、角隅を
囲う硝子屏風はもう季節の冬に対しての武装だ。 乗合自動車の轍の地揺れのたびに落....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
切っても切れねえ仲だってこともよ。今年の暮ごろには受出してよ、黒板塀に見越の松、
囲うってことも知ってなけりゃア嘘だ。その林蔵親分がな、ここにおいでなすっているの....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
川那子家の御寮人で収まっていたお千鶴は、 「――ほかのことなら辛抱できまっけど、
囲うにこと欠いて、なにもわての従妹を……」 と、まるで、それがおれのせいかのよ....
「猫と村正」より 著者:小酒井不木
いって私に頻にすすめました。そうして私は皮肉にも、仲人の言葉を実行してほかに女を
囲うようになったのですが、そのために先妻は私とその女をうらんで自殺したので御座い....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ず扉が開いていたので、思わず両人、左右の壁へ立ち別れた。 と見ると哀しき寝台を
囲うて、左の方に、忍び姿で、粛然として山の井医学士。枕許に看護婦一|人、右に宿直....
「春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
のを防ぐために、家の周囲に「雪がこい」ということをする。雪国の家は普通三方を壁で
囲うて、出入口を一方に設け、他は小窓があるくらいに過ぎないから、通例壁に副うて木....
「俗臭」より 著者:織田作之助
るのを見て、伝三郎は、 「あんさん、えらい粋な所に住んだはりまんナ。こゝ、これを
囲うたアる家と違いまんのか」と小指を出したということだ。赤坂という地名から専ら色....