囲繞[語句情報] » 囲繞

「囲繞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

囲繞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
は、じつに、父兄の財産を食い減すこととむだ話をすることだけである。 我々青年を囲繞《いぎょう》する空気は、今やもうすこしも流動しなくなった。強権の勢力は普《あ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
目的に達する手段ではないが故に無目的といったのである。緩慢な、回顧的な生活にのみ囲繞されている地上の生活に於て、私はその最も純粋に近い現われを、相愛の極、健全な....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
感覚に打たれた。四方の壁面は、ゴンダルド風の羽目で区切られていて、壁面の上層には囲繞式の採光層が作られ、そこに並んでいる、イオニア式の女像柱が、天井の迫持を頭上....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ートの高さのわたり、大高原をなしている。そして、それを覆う千古の氷雪と、大氷河の囲繞。とうてい五百マイルの旅をして核心を衝くなどということは、生身の人間のやれる....
春昼」より 著者:泉鏡花
形の只中へ、封じ籠められた形になる。 奇怪なる地妖でないか。 しかし、若悪獣囲繞、利牙爪可怖も、※蛇及蝮蝎、気毒煙火燃も、薩陀彼処にましますぞや。しばらくし....
赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
は出来なかった。敵の領内であるからである。 二人は急いで塔を出た。 気付いて囲繞んだ叛軍の群を、例の精妙の「か音の一手」で、縦横無尽に切り払い、一散に城外へ....
赤格子九郎右衛門の娘」より 著者:国枝史郎
込んだ。 鹿十郎も立ち上り玄関から裏の方へ廻って行った。 離れ座敷をグルリと囲繞き真黒に捕方が集まっている。しかも座敷の中からは三味線が長閑に聞こえてくる。....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
なよや さら さら さら 唄の途中から、上下幕が静かに上る。 幽麗なる孟宗竹林に囲繞せられたる竹籠作り讃岐ノ造麻呂の家。 舞台右手には、その家の一部。土間と居間....
太陽系統の滅亡」より 著者:木村小舟
して、何物の生者をも存在せしめない。 死せる地球、及び他の惑星は、瀕死の太陽を囲繞して、暫しは哀れを止むるが、その太陽が中心迄、冷えきった時は、宇宙の一辺には....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
丈の二階の一室の九尺二枚の大襖である。図は四条の河原の涼みであって、仲居と舞子に囲繞かれつつ歓楽に興ずる一団を中心として幾多の遠近の涼み台の群れを模糊として描き....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
金色に彩どられた午後五時十五分、船長事務長及び数百の乗客の限りなき哀悼悲痛の中に囲繞かれて眠るが如くに最後の息を引取った。 五月十五日|新嘉坡に着いた。近藤事....
オシラ神に関する二三の臆説」より 著者:喜田貞吉
は、摂津国をだんだん西から東に向かってはやって来たもので、ついには数千万人神輿を囲繞して、京都に向かって練り込んだと言われるほどの騒ぎであったが、その神輿の一つ....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
治、宗教、人情、風俗より天文、地理、気候、地味にいたるまで、いやしくもわが体外に囲繞せる万象万化、みなことごとくわれを教育して一時も休まざるものなり。ゆえに、人....
西航日録」より 著者:井上円了
壮なること、島国人種の想像しあたわざるところなり。北方一帯はヒマラヤ連山をもって囲繞し、畳々綿々、一峰は一峰より高く、一山は一山より大にして、天が狭いといわんば....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
に撮影す。午前、一天雲なきに当たり、船上にありて回望するに、蒼々たる天壁、海碧を囲繞するありさまは、あたかも盆中に水を盛り、一片の繊塵をその中央に浮かぶるがごと....