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図太い
「図太い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
図太いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
。」
大井《おおい》は下駄箱《げたばこ》の前に立止ると、相不変《あいかわらず》
図太い声を出した。が、その間《あいだ》も俊助《しゅんすけ》に逃げられまいと思った....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
実にしてしまうという観念の衣裳をまとわぬナイーヴな子供の感受性を、京吉は馴々しく
図太い神経の中に持っているのだ。 例えば、祖母が死んだ時がそうだった。昨夜茉莉....
「心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
日前《せんにちまえ》に二つの首が獄門に梟《か》けられた。ひとつは九郎右衛門という
図太い男の首、他のひとつはお八重という美しい女の首で、先に処刑《しおき》を受けた....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
春はもう汚れているんだ!」と、これはわざと悲痛な調子で言った。豹一はそんな赤井の
図太い生活にふと魅力を感じたが、僕の青春云々が妙に赤井の気取りのように思われたの....
「世相」より 著者:織田作之助
。 家の三軒向うは黒山署の防犯刑事である。半町先に交番がある。間抜けた強盗か、
図太い強盗かと思いながら、ガラリと戸をあけると、素足に八つ割草履をはいた男がぶる....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に、うしろ暗い人間はだんだんに弱って来て、果ては堪えられなくなるのである。元来が
図太い人間は、更にそのあいだに度胸を据え直すという術《すべ》もあるが、大抵の人間....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
殺した上に、その本家へ押し掛けて行って、三百両の金をゆすろうとするのである。その
図太いのに用人も呆れた。 しかしこの時代としては、これも強請《ゆすり》の材料に....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
っさりと砕けて出たので、半七も少しく当てがはずれた。それと同時に、こいつなかなか
図太い奴だと思った。 「徳次兄いに睨まれちゃあ助からねえから、何もかも正直に云い....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
て江戸へ送って貰おうと……。それから先は喜兵衛の白状通りですが、こいつがなかなか
図太い奴で、島破りのことなぞは勿論云いません。わざと気違いだか何だか得体のわから....
「デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
み、暫く気嚢の内底部を掻き廻していたが、間もなく美しい首飾を一つ取り出した。 「
図太い野郎だ!」 司法主任が係の男にとびかかろうとした。 「お待ちなさい。人違....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
ド老人の外に心当りはない。 ワイトマンは肝臓が破裂するほどの激憤を感じた。あの
図太い老耄奴、鼠の輸入なんてどうも可笑しいと思っていたがなんのこと真珠の密輸をカ....
「蛍」より 著者:織田作之助
やら御礼かたがた御挨拶に上らねばと思いながらもつい……。公然と出入りしようという
図太い肚で来たのか、それとも本当に一言謝るつもりで来たのか、それは伊助の妾だった....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
ではあるまい。それがお前の流儀なのだ。ちょっと余人では真似の出来ない神経なのだ。
図太いというのもちょっと違う。つまりは、一種気が小さい方かも知れない。ともかく、....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
の霞の中でしょうと思いますよ。 と、その細い、幽な、空を通るかと思う雨の中に、
図太い、底力のある、そして、さびのついた塩辛声を、腹の底から押出して、 (ええ、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
を訴えて、首にしてやる覚悟しやあがれ。得三はぎょっとして、「何の、踏むなどという
図太い了簡を出すものか。と慌つる状に高田は附入り、「そんなら金を、さあ返済せ。「....