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固り
「固り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
固りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
可哀想だ、と言ってくんねえ。……そうかと言って、こう張っちゃ、身も皮も石になって
固りそうな、背が詰って胸は裂ける……揉んでもらわなくては遣切れない。遣れ、構わな....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
謝絶に取附く島なく、老媼は太く困じ果てしが、何思いけむ小膝を拍ち、「すべて一心|
固りたるほど、強く恐しき者はなきが、鼻が難題を免れむには、こっちよりもそれ相当の....
「食魔」より 著者:岡本かの子
ンの光線|焦けと塗り薬とで鰐皮色になっている堆いものの中には執拗な反人間の意志の
固りが秘められているように思われる。内側からしんの繁凝が円味を支え保ち、そしてそ....
「春」より 著者:岡本かの子
手で息せく加奈子の手を持ち、片手で繁る楓の枝を掴んだ。道の兵士達はタンクのように
固り乍ら行き過ぎようとして居た。京子は楓の枝の間からぎらぎら光る眼で兵士達を見据....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
人間に見られるを好まずという、即ち俺と貴様は同醜だ。汝は黒き断崖と赤き断崖と聳え
固りて、鳥の声なき深所に隠れたる、形容するに言葉なき者、即ち鬼神も憐憫の為に泣く....
「路上」より 著者:梶井基次郎
帰って鞄《かばん》を開けて見たら、どこから入ったのか、入りそうにも思えない泥の
固りが一つ入っていて、本を汚していた。....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
とも思われる。身につけるものではないが、例えばマイヨオルの彫刻はせいぜい銅か土の
固りであり、「信貴山縁起」は一巻の長い紙であり、名工の茶匙は一片の竹であるに過ぎ....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
なるほどわれわれが他人の作品を観賞する時には、その一筆一筆の集まりから成り立った
固りから、その人の心や性格や、生活状態までも、ほぼ察することが出来るということは....
「魔法修行者」より 著者:幸田露伴
るこの不穏な世に大自由の出来る身を以て、淫欲までを禁遏したのは恐ろしい信仰心の凝
固りであった。そして畏るべき鉄のような厳冷な態度で修法をはじめた。勿論生やさしい....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
は思ったより冷くない。首まで浸って凝としていると、体の表面からぎらぎらした油汗の
固りが、蝶の鱗粉のように浮いて流れて行く。谷の日は静に暮れて、水烟の薄く罩めた河....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
に、時化をおかして帰って来るのだった。 薄暗い機関室への降り口で、漁夫と水夫が
固り合って騒いでいた。斜め上から、船の動揺の度に、チラチラ薄い光の束が洩れていた....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
、お願いなんだ。女工はお君やお芳に説かれると、五六人が身体を打ッつけ合うように一
固りにして、階段を上がった。 職長たちは事が起ると見ると、事務所の方へ引き上げ....
「淫売婦」より 著者:葉山嘉樹
な》り距離はあるんだし、暗くはあるし、けれども私は体中の神経を目に集めて、その一
固りを見詰めた。 私は、ブルブル震《ふる》え始めた。迚《とて》も立っていられな....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
もひっかかっているのかと感ちがいするだろう。眼も鼻も口も、額ぎわにごたごたとひと
固りになり、ぽってりと嫌味に肉のついた厖大な顎がぶらりとぶらさがっている。馬が提....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
そして、その意固地を掻き立てたものは、内攻に内攻を重ねた、彼の不安や焦躁の凝り
固りである。 時が経るに連れて、人と人との相対的な、複雑な、微妙な、流転する心....