国民服[語句情報] » 国民服

「国民服〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

国民服の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
小さいアルバム」より 著者:太宰治
員としてその前年の晩秋、南方に派遣せられたり)へ御年始にあがって、ちょうどI君も国民服を着て御年始に来ていましたが、その時、I君が私たち二人を庭先に立たせて撮影....
十二月八日」より 著者:太宰治
っとも役に立たないかも知れない。本当に、前から私があんなに言っているのに、主人は国民服も何も、こしらえていないのだ。まさかの時には困るのじゃないかしら。不精《ぶ....
服装に就いて」より 著者:太宰治
吝嗇な私は、これからもさまざまに衣服の事で苦労するのではないかと思う。 宿題。国民服は、如何。....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
買うよりほかに方法がない。げんに買った連中がいる。 敗戦当時、彼らはよれよれの国民服に下駄ばきだった。しかし、半月ばかりすると、彼等は靴をはいていた。五日たつ....
帰去来」より 著者:太宰治
ていたのだ。やがて、中畑さんと北さんが、笑いながらそろってやって来た。中畑さんは国民服、北さんはモーニング。 「はじめましょう、はじめましょう。」と中畑さんは気....
壊滅の序曲」より 著者:原民喜
た。県庁動員課の男の式辞や、校長の訓示はいい加減に聞流していたが、やがて、立派な国民服姿の順一が登壇すると、正三は興味をもって、演説の一言一句をききとった。こう....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
ついてその島へいったっきりであった。工場へ出勤している兄と、一人になった女中と、国民服をきて丸坊主になった父と、簡素な生活になっていた。ごたごたしたうちに進級し....
アド・バルーン」より 著者:織田作之助
した。 秋山さんはやはり来た。雑鬧を押しわけてやってきた――その姿はよれよれの国民服で、風呂敷包を持っていました。「午後五時五十三分、天王寺西門の鳥居の真西に....
水甕」より 著者:豊島与志雄
ン、恐らくは下駄でもはいていそうで、近辺の地廻りの者らしく、こちらは、着くずれた国民服で、恐らく地下足袋でもはいていそうで、けちな闇ブローカーらしく見えました。....
淪落の青春」より 著者:坂口安吾
んな山奥の地区でも都市とひとまとめに時々空襲警報もでる。空襲警報になると正一郎は国民服にゲートルをまいて、カメの首すじつかんで叩き起す。カメもナッパ服の古物を一....
呉清源」より 著者:坂口安吾
み、他人の思惑などは顧慮するところがない。 将棋の升田八段は、復員服(呉八段は国民服)に兵隊靴、リュックをかついで勝負に上京、傲岸不屈、人を人とも思わぬ升田の....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
の男がクモの子を散すように、逃げでる時であった。一瞬にして八方へ散る。ヨレヨレの国民服みたいなものをきた五十すぎのジイサン。三十五六の兵隊風の男。等々。いずれも....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
半ちかい十一時半、呉清源はただ一人、風のようにモミヂ旅館へ姿を現した。ヨレヨレの国民服をきて、長さ一尺足らず、幅四、五寸の手垢でよごれたズックの小さなボストンバ....
」より 著者:織田作之助
らまだ四五日たっていない日のことであった。私は市電に乗っている彼の姿を見た。彼は国民服を着て、何か不安な面持ちで週刊雑誌を読んでいた。そしてふと顔を上げて、私を....
食べもの」より 著者:佐藤垢石
いると、なれなれしく、私のかけている縁側へ、私と並んで腰を下ろした。そして、古い国民服の隠しから、短く喫い残った巻煙草をだして火をつけた。 「煙草も、貴いですね....