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土竜
「土竜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
土竜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
ずん足音響かせてはや仕事着の兄がやってきた。 「ウン起きたか省作、えい加減にして
土竜の芸当はやめろい。今日はな、種井を浚うから手伝え。くよくよするない、男らしく....
「地中魔」より 著者:海野十三
ったか? 大江山隊長を先頭に、大辻珍探偵をビリッコに、一行十一勇士は勇ましくも
土竜のように(というと変だが)、明暗もわからぬ地中にもぐりこんだ。始めは腹這って....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
抜け道は幅も高さも三尺に過ぎないので、大の男は這って行くのほかは無かった。半七は
土竜のように這い込むと、まだ三間とは進まないうちに、道は塞がって行く手をさえぎら....
「黴」より 著者:徳田秋声
その女とは、年にも大変な懸隔があったし、集まって来る若い男も二、三人はあったが、
土竜のような暗い生活をしている女の堕落的気分が、ただ時々の興味を惹いていた。 ....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
る、私は穴蔵へでも引き入れられるような気になって、また石小舎へ戻った、光を怖れる
土竜が、地の底へもぐりこむように。 穂高岳より槍ヶ岳へ 石小舎の前には....
「のろのろ砲弾の驚異」より 著者:海野十三
なる。 私は、はげしい目まいをおさえて、しばらく強い光の中に、うつ伏していた。
土竜ならずとも、この光線浴には参る。これも博士の警戒手段の一つである。 私は、....
「今昔ばなし抱合兵団」より 著者:海野十三
の当時は、地上や空には恐竜などの恐ろしく大きな動物が猛威をふるい、地底深くには大
土竜(それが退化して今日残っているのが例のもぐらもちです)に攻めたてられ、遂に上....
「太平洋雷撃戦隊」より 著者:海野十三
になっていましたので、明るい水上の風景を見ることも出来ず、水兵たちはまるで水中の
土竜といったような生活をつづけていたわけでした。 とにかくこんなに永い間、どこ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
瞑って居たおれの目よ。も一度かっと※いて、現し世のありのままをうつしてくれ、……
土竜の目なと、おれに貸しおれ。 声は再、寂かになって行った。独り言する其声は、彼....
「溺るるもの」より 著者:豊島与志雄
しは眠ってる男をゆすり起していた。 「あたしが起きてるのに、眠るって法があるの。
土竜《もぐらもち》みたいに、布団の中に頭からもぐりこんでさ……。お起きなさいった....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
さ》な規則を見ると、憫笑《びんしょう》に価するようなものばかりであった。笑うべき
土竜《もぐら》の巣だ! 生命が一過すれば、すべては清掃されるのだ……。 クリス....
「青玉の十字架」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
介にしていたのだった。聖晩餐大会はきっと、沈滞した田舎から、こうした掘り出された
土竜のような、目の見えない、どうにも仕様のない生き物を吸い寄せたのに違いなかった....
「故郷」より 著者:井上紅梅
年がぽつりと一人立っている。項には銀の輪を掛け、手には鋼鉄の叉棒を握って一|疋の
土竜に向って力任せに突き刺すと、
土竜は身をひねって彼の跨ぐらを潜って逃げ出す。 ....
「博物誌」より 著者:岸田国士
を選ぶわけではない。一番近くにあるのにぶつかって行く。鋤の刃のように、または盲の
土竜のように、行き当りばったりに、その不撓不屈の鼻を前へ押し出す。 それでなく....
「香熊」より 著者:佐藤垢石
月の間に鹿、狸、狐、猿、鼠、猫、栗鼠、木|鼬、羚羊、犬、鯨、海狸、熊、穴熊、猪、
土竜など、内地の獣類は、いろいろ食べたことがある。だが、不遇にも羆の肉だけは、い....