地の利[語句情報] »
地の利
「地の利〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
地の利の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
たれがこの馬をこの場合、奪う事ができるだろう。向こうには、人の和があった。しかも
地の利さえ占めている。もし次郎だったとしたならば――彼の想像には、一瞬の間《あい....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
、長身に伍《ご》して、短躯《たんく》のクルウを連ね、天候さえ冷え勝ちで、天の利、
地の利、人の利、すべて我々に幸いせず。頼《たの》むは、日本男児の気概《きがい》の....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
っていたし、思い切り大規模の清洲橋も完成していた。それにもかかわらずこの辺一帯の
地の利もすでに悪くなって、真砂座のあった時分の下町|情緒も影を潜め、水上の交通が....
「失敗園」より 著者:太宰治
たか。面目ない。」 「何を言ってるの。ずいぶん細いねぎねえ。」 「ええ面目ない。
地の利を得ないのじゃ。世が世なら、いや、敗軍の将、愚痴は申さぬ。我輩はこう寝るぞ....
「天災と国防」より 著者:寺田寅彦
事である。これは、一つには建築様式の相違にもよるであろうが、また一つにはいわゆる
地の利によるであろう。旧村落は「自然淘汰」という時の試練に堪えた場所に「適者」と....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
ま無心に手綱を操っていた。隙だらけの姿勢である。多四郎は四方を見廻した。戦いには
地の利が肝心だ。……こう思ったからでもあろう。この時橇は山と谿との狭い岨道を走っ....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
何んのビクとも驚くものか。例によって下段に太刀を付け、身を沈ませて構えたが、残念
地の利が悪かった。背後《うしろ》は大川、引くことが出来ぬ。前には敵の二十人、揃っ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
て、些細ながら、礼心に密と内証の事を申す。貴女、雨乞をなさるが可い。――天の時、
地の利、人の和、まさしく時節じゃ。――ここの大池の中洲の島に、かりの法壇を設けて....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
過ぎぬ戦乱の世の奉行なんどよりは、此の公私中間者の方が、何程か其土地を愛し、其土
地の利を図り、其人民に幸福を齎らすものであったか知れぬのであった。それで足利幕府....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
したのが、近い処は、房総地方、あるいは軽井沢、日光――塩原ならばいうまでもない。
地の利によらないことは、それが木曾路でも、ふとすると、こんな処で、どうした拍子、....
「颱風雑俎」より 著者:寺田寅彦
相当な被害が見られた。古い村落は永い間の自然淘汰によって、颱風の害の最小なような
地の利のある地域に定着しているのに、新集落は、そうした非常時に対する考慮を抜きに....
「ベルリン大学」より 著者:寺田寅彦
。 いつか海洋博物館での通俗講演会でペンクが青島の話をしたとき、かの地がいかに
地の利に富むかということを力説し、ここを占有しているドイツは東洋の咽喉を扼してい....
「町内の二天才」より 著者:坂口安吾
猛犬をゆずりたがってるような人はいませんかなア」 床屋は噂の発祥地。申分のない
地の利をしめているから、源サンの流言はたちまち町内にひろがった。おくればせながら....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
その人気の絶頂であった。 しかし今日ならばともかくも、その当時において猿若町は
地の利を得ていなかった。震災以後、町の形はまったく変わってしまったが、その頃の市....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
近づかず、なるべく敵の視線を免れるように身構えて発砲して居ったそうです。もっとも
地の利は充分チベット人が占めて居ったのですけれども、元来|怖気が付いて居るもので....