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「地声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

地声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
ままで唇が無性に震えた。 「お父さん、それだけはどうか勘忍してください」 父は地声になって口をとがらした。 「勘忍してくださいといったところが、これはお前のこ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
半七の姿を見付けてあわただしく小声で訊いた。 「徳さんかえ」 徳さんという男の地声を知らないので、半七は早速に作り声をするわけにも行かなかった。かれは頬かむり....
婦系図」より 著者:泉鏡花
がらあ、べらぼうめ。」 「やかましい!」 隣の室から堪りかねたか叱咤した。 「地声だ!」 「あれ、」 と女中が留めようとする手も届かず、ばたりめ組が襖を開け....
人間灰」より 著者:海野十三
笑っていた。彼は署長の手帖の中身をスッカリ藁半紙に書き写してしまってから、激しい地声でまくし立てた。 「手帖を展げるなら、こんなくだらんことを見せるのは止して、....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ましたような次第でございます」 素六は、やっと、気がついた。保狸口という男は、地声か、声帯模写かはしらないが、声だけ聞いていると、なんのことはない、放送局の杉....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
らしい。 大広間一面のざわめきが精力を出し切って、乾き掠れた響を帯び、老芸人の地声のように一定の調子を保って、もう高くも低くもならなくなった。天井に近く長い二....
金属人間」より 著者:海野十三
か。早く開いて見せなさい」 「あ、そんな大きな声を出しては――」 「これはわしの地声《じごえ》だ。どんなでかい声を出そうと、きみからさしずはうけない」 警部が....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
男の声は、いやに疳高い。アンが、もうすこし低く喋ってはと注意したが、その男の声は地声とみえて一向低くならなかった。 「……桟橋から飛びこんだときは、後悔したよ。....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
急いで、渋団扇で三人へ皆配る。 「早いんだい、まだだよ。」 と差配になったのが地声で甲走った。が、それでも、ぞろぞろぞろぞろと口で言い言い三人、指二本で掻込む....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
べ、一座|退りて手をこまぬき、拳を握りてものいわず。鐘声遠く夜は更けたり。万籟天地声なき時、門の戸を幽に叩きて、 「通ちゃん、通ちゃん。」 と二声呼ぶ。 お....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
名代の良い処を五六枚、上手に使い分けまして、誠に好い都合でありますけれども、私の地声では、ちっとも情が写りますまい。その辺は大目に、いえ、お耳にお聞溢しを願いま....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
る。 「おう、お嬢さん……そいつを持ちます、俺の役だ。」 赤鬼は、直ちに半助の地声であった。 按摩の頭は、提灯とともに、人垣の群集の背後についた。 「もう、....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
か。」とおとずれたのだか、それさえ的確ではないのだそうであるから、構わず、関東の地声でもって遣つける。 谷の戸ではない、格子戸を開けたときの、前記の声が「こん....
」より 著者:岡本かの子
お咲に妙な気持ちが込み上げた。 「こら、何です、この子は」 お咲は、思わず地声で叫んだ。吃驚して実母を見た蓑吉の手は怯えにかじかんで、直ぐには蓑吉の体の方....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
れ手拭で、きゅうきゅうと、まだ紅みの残ったその首筋を拭き出した。 「なに、あれは地声だよ。薩摩人だよ。ほら、あのA爺さんさ。」 「そうか。あの人はたしか城山に家....