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地紙
「地紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
地紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
東方を顧れば、箱根足柄にかぶさる雲から、雨脚のような光線が流れて、大裾野は扇の
地紙のように、森や小阜《しょうふ》の折目を正しくして、黄色に展開している。朝の霧....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
の光の遠くへ投げるのだと云うじゃありませんか。扇の要《かなめ》がぐるぐる廻って、
地紙《じがみ》に塗った銀泥《ぎんでい》をきらきらさせながら水に落ちる景色は定めて....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
つけ、一方の壁には鬢附け油が堅いのと軟かいのとを板に附けてある。客は毛受けという
地紙なりの小板を胸の所へ捧げ、月代を剃ると、それを下で受けるという風で、今と反対....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
は、それを文字に改めて紙の上に定着させるだけである。塵ほどの汚れめもないまッ白な
地紙に、最初の筆をぶすりとおとした。瞬間おのれは無になった。筆を抱いて定法なく、....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
羽鶴、裾模様の振袖三枚|襲ねの、まだシツケの掛かっているのを逆さに着せて、金銀の
地紙を織出した糸錦の、これも仕立卸しと見える丸帯でグルグルグルと棒巻にしたまま、....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
森の中には款冬の濶葉が傘のように高い。ドウダンツツジの葉と、背向きになって、翠い
地紙に、赭っちゃけた斑が交ったようだ、何枚も、何枚も、描き捨てられた反古のような....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
せんが、黄昏と思う時、その美女ヶ原というのでしょう。凡八|町四方ばかりの間、扇の
地紙のような形に、空にも下にも充満の花です。 そのまま二人で跪いて、娘がするよ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
う来たんだ。ちょいと。」 手を放すより、二三間|駈出して、われはまず青楓の扇の
地紙開きたるよう、月を蔽いて広がりたる枝の下に彳みつ。仰げば白きもの仄見ゆる、前....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ひきまく》を贈ることもあった。藤の花の下に緋《ひ》の敷もの、二絃琴を描いてあとは
地紙《じがみ》ぢらしにして名とりの名を書いたりした。 お坊さんのお婆さんは、―....
「十一谷義三郎を語る」より 著者:豊島与志雄
トの真髄が分るのだと云っていた。身辺にまきちらしたバットの空箱の、金の蝙蝠と緑の
地紙とが、黎明の光に何とも云えぬ色合を呈し、手の指先が金粉に染められていると共に....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
のとなった。また、その下には、隠伏奏楽所さえ設けられて、観客席も、列柱に囲まれた
地紙形の桟敷になってしまった。これでは、如何にしようとて、沙翁劇が完全に演出され....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
がして、すぐに白い物が胸の前で躍った。カッカッと柄を打った拍子に、扇が開いて白い
地紙が、月の光をはねたからである。
「嘉門が不在で娘がいたとか? その娘をお前は....
「我が円朝研究」より 著者:正岡容
しようとするくだりで、何にもしらないで浪江にたのまれ、おきせに再縁をすすめにくる
地紙売の竹六が、磯貝様はどうだと訊くと「まさかあのお人を」とおきせが否定するので....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
構えた、本家は別の、出茶屋だけれども、ちょっと見霽の座敷もある。あの低い松の枝の
地紙形に翳蔽える葉の裏に、葦簀を掛けて、掘抜に繞らした中を、美しい清水は、松影に....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
せきえんふう》の雄勁《ゆうけい》なる筆法を示したり。摺物《すりもの》扇《おうぎ》
地紙《じがみ》団扇絵《うちわえ》等に描ける花鳥|什器《じゅうき》の図はその意匠|....