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坐する
「坐する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
坐するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
かな落着きを感ずるよりも、ある強い誘惑を感じた。けれども机に向っておぬいさんと対
坐すると、どうしてもいつもの彼の調子が出にくかった。道々彼が思いめぐらしてきたよ....
「癩」より 著者:島木健作
ぐに点検の声がかかる。戸に向って瘠《や》せて骨ばった膝《ひざ》を揃《そろ》えて正
坐する時には、忘れてはならぬ屈辱の思いが今さらのようにひしひしと身うちに徹して感....
「新生」より 著者:島崎藤村
を励まそうとした。
黄ばんだ洋燈の光は住慣れた部屋の壁の上に、独《ひと》りで静
坐することを楽みに思う岸本の影法師を大きく写して見せていた。岸本はその影法師を自....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
とえば、太陰と太陽の位置が不利で、火星が昇りかけており、土星が十二獣帯の第八宮に
坐するという場合には、子供はほとんどきまって死産である。一般に、太陽と太陰の合の....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
て自由論派は何故に共和主義または破壊主義と目せられしや。思うにまた世の誤解多きに
坐するのみ。この誤解たるや、あるいはその末流の徒、真にいまだ先覚者の説を翫味せず....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
頭分とみえる者は紅い冠をいただき、うす黄色の袍を着て、神坐の前にある案に拠って着
坐すると、その従者とおぼしきもの十余人はおのおの武器を執って、階段の下に居列びま....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
なっているので、その不愉快は少しもなかった。 食事がすむと小楊枝を使いながら正
坐する。小楊枝は月に一二本ずつ渡される。正坐というのはチャンと膝をくずさず坐るこ....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
生えたもの多く、冬は腰がひえてかないまへんという関係やら、家では靴をぬぎ畳の上へ
坐する風習と、暖房装置がこたつであったりするために、あまり多く見受けない。しかし....
「友人」より 著者:上村松園
れることのない友である。 私は友人に逢いたくなると画室に入って、その人たちと対
坐する。 彼女たちは語らない。 私も語らない。 心と心が無言のうちに相通じ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
、それに対する挨拶などは一切なかった。 新子も、こんな気持で、夫人とこれ以上対
坐することは、堪えられなかったので、 「失礼致しました。」と、せわしなくいって、....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
通り座敷を掃除させて、机の前に端坐し、そして向うを眺めて好い気持になっている。端
坐するということは、鶴見にはいつからか癖になっているので、厳格な意味でわざわざそ....
「弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
暗く何も見えなかった。 そこで若武士は膝を揃えて坐った。疲労た足を癒すには、端
坐するのがよいからであった。 2 こうしてしばらく時が経った。と、その時裏庭の....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
らざるごとくに認め、以て勝氏の行為を弁護したるは、畢竟するに全く事実を知らざるに
坐するものなり。 今|当時における外交の事情を述べんとするに当り、先ず小栗上野....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
て称せられて居るようであります。
このチョモ・ラハリはあたかも毘婁遮那の厳かに
坐するがごとく曠原の一角に聳え、しかしてこの湖水を擁してずらりと列べる雪峰は天然....
「雨の宿」より 著者:岩本素白
を延べてくれた奥の小間の唐紙を締め切り、入り口の方の部屋のまん中に小机を据えて端
坐すると、少し強くなった雨の音が、明日の行程の悩みを想わせるよりも、ひどく静かな....