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坪庭
「坪庭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
坪庭の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
むように広々とした平野までも高い山腹にある位置からその部屋の障子の外に望まれる。
坪庭の塀《へい》を隔てて石垣の下の方には叔母の家の板屋根なども見える。奥の間があ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
て、新夫婦に食べさせた。 「お民、おいで。髪でも直しましょう。」 おまんは奥の
坪庭に向いた小座敷のところへお民を呼んだ。妻籠の本陣から来た娘を自分の嫁として、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ころは、駿河は上段の間から薄縁の敷いてある廊下に出て、部屋の柱に倚りかかりながら
坪庭へ来る雨を見ていた。石を載せた板屋根、色づいた葉の残った柿の梢なぞの木曾路ら....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
と、これは祖父にかわいがられた娘だけに、姉らしく目のふちを紅く泣きはらして、奥の
坪庭の見える廊下の方へ行って隠れた。 寿平次の妻、お里も九歳になる養子の正己(....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の間、今は神殿にして産土神さまを祭ってある上段の間の方まで続いて行っている。北の
坪庭も静かな時だ。何げなくお民はその庭の見える廊下のところへ出てながめると人気の....
「家」より 著者:島崎藤村
奥座敷の暗い入口から炉辺の方へ出た。大きな看板の置いてある店の横を通り過ぎると、
坪庭に向いた二間ばかりの表座敷がその隣にある。 三吉は眺め廻して、「心地の好い....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
うしていいか解らなかった。 葉子たちの落ち着いたのは、狭い平屋であったが、南に
坪庭もあって、明るい感じの造作であった。花物を置くによろしい肱掛窓もあって、白い....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
、にわかに傾げて聞き耳を立てたが、急に立ち上がると円窓を開けた。 窓の外は狭い
坪庭であって、石灯籠や八手などがあった。その庭を囲んでいるものは、この種の妾宅に....
「火の扉」より 著者:岸田国士
た。 いつの間にかもう別の曲に移つていた。 ちようどそのころ、まだ開いている
坪庭の門をくゞつて、北原ミユキが姿をあらわした。 勝手がわかつているので、別に....
「光は影を」より 著者:岸田国士
しく飾つてあつた。なんとも退屈な部屋の空気である。彼は席をはずして、障子を開け、
坪庭のドウダンと松の植込みをぼんやり眺めていた。 「なにを見ていらつしやるの」 ....
「越年」より 著者:岡本かの子
に暖かくて雪の代りに雨がしょぼしょぼと降り続いた。加奈江は茶の間の隅に坐って前の
坪庭の山茶花の樹に雨が降りそそぐのをすかし見ながら、むかしの仇討ちをした人々の後....
「年中行事覚書」より 著者:柳田国男
り児が生まれる。その児がよく啼く児でアダコが幾らだましても啼き止まぬが、不思議に
坪庭の松の木の下へ来るとぴたりと啼かなくなる。それを女房が子守から聴いて、そこを....